松本清張「湖底の光芒」を読む

1983年刊行の作品。もともとは1963年から翌年にかけて小説現代で連載されたもの。あらすじ亡き夫の遺したレンズ製造会社「中部光学」を経営している加須子。ところが、親会社であるケーアイ光学の倒産を知り、債権者会議に出席するため長野から東京へ。絶望的な気持ちで座っている加須子ら債権者と異なり、ケーアイ光学社長・森崎ら経営陣は巧みに追及をかいくぐる。そこに一人の男が現れ、すべての債権を額面の4分の1で
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乱歩賞作家・斎藤栄「赤富士殺人事件」を読む

1972年出版の短編集。表題作のほか、「梵鐘の犯罪」「三人のミス・ミナト」「夜の炎」「市長の似顔絵」「三つの悪い芽」「猿とマリファナ」の計7編を収録。あらすじ「赤富士殺人事件」は推理作家の私が、画伯に会いに行ったところ、刺殺死体となった画伯を発見。アトリエにあった制作中の大作はずたずたに引き裂かれていた。職業柄、事件に首を突っ込んだ私は画伯夫妻にそれぞれ愛人がいたことを掴む。両者とも鉄壁のアリバイ
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吉敷刑事シリーズ9・島田荘司「幽体離脱殺人事件」を久々に読む

1989年刊行の長編本格ミステリ。吉敷刑事シリーズ第9弾にあたる。2008年にTBSでテレビドラマ化されている。あらすじある夜、吉敷刑事は酒場で一人の男と知り合った。その男、小瀬川杜夫は京都在住のサラリーマン。東京に出張中で、自分の境遇と妻の話をグチグチ聞かされうんざりする吉敷。しかし、三重県警からきた捜査依頼にびっくり。二見浦の夫婦岩で発見された首つり死体の所持品から小瀬川の名刺が出てきたのだ。
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アリバイ崩しの名作・斎藤栄「真夜中の意匠」を読む

1967年初版の長編本格ミステリ。前年に「殺人の棋譜」で乱歩賞を受賞した著者の第2作目にあたる。あらすじ横浜で起きた殺人事件。被害者は未成年で定職を持たない青年、岡弘。弘の父、一夫は肝臓がんで入院しており余命幾ばくも無い。一夫は先祖代々の田畑を守り、農協役員として生きてきた。弘が亡くなったことで、風前の灯状態の一夫が死去すれば莫大な土地が遺され、おりからのニュータウン開発による地価高騰で二束三文の
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第2回鮎川哲也賞受賞作・石川真介「不連続線」を久々に読む

1991年度の第2回鮎川哲也賞受賞作。2002年に女と愛とミステリー枠でテレビドラマ化。主演は東ちづる。宅麻伸、板東英二、石橋蓮司、水野久美などが出演。あらすじ事故で夫を亡くした後、義母・静枝も何者かに殺害された紀子。義母はカバン詰めの死体となって発見されるという衝撃的な事件だった。事件から三カ月が経った頃、紀子は静枝の死の直前の行動を調べ始める。静枝が旅行中に訪れた浜松の眼科医院、福井県秋葉村役
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大藪春彦「復讐の弾道」を読む

1967年発刊の長編アクション小説。服役中に兄を自殺に追いやられた弟がそれを行った人物と企業を徹底的に追い込んでいく話。あらすじ戦争で亡くなった両親の代わりに育ててくれた兄が、自分が刑務所に入っている時に不慮の死を遂げたことを知った羽山。迷惑をかけ続けた兄の復讐を誓い、ありとあらゆる方法で兄の妻、義父、お手伝い、弁護士などを篭絡したり亡き者にしていったりする。ついには会社乗っ取りも企み、成功したか
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松本清張プレミアム・ミステリー「翳った旋舞」を読む

2019年出版のプレミアムミステリーシリーズ。もともとは1963年に『女性セブン』で連載されたもの。映画・テレビドラマは現在のところなし。あらすじR新聞社の資料調査部で働いている三沢順子。大学卒業して1年なので職場では完全に下っ端。貯金が楽しみのハイミスもいれば、酒とギャンブルに溺れ職場にロクにいない次長、出世のことしか考えていない部長もいる。ある日、整理部の木内という男が来て「S・フレッチャー」
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松本清張「混声の森」を読む

1975年刊行の長編小説。もともとは1967年から1年あまり新聞に連載されたもの。1978年にTBSでテレビドラマ化。丹波哲郎、東野英治郎、佐藤慶、いしだあゆみ、市原悦子、永島敏行、佐分利信、かたせ梨乃、浅茅陽子など豪華な出演陣。観たい。あらすじ東京近郊にある私立女子大・若葉学園。広大な敷地と近代校舎を売りに人気がある女子大だが、それを可能にしたのは専務理事の石田謙一だった。石田は本人からはっきり
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ドラマ原作・笹沢左保「白昼の囚人」を読む

1971年出版の長編ミステリ。もともとは週刊現代に連載されていたもの。1985年に火曜サスペンス劇場でテレビドラマ化。出演は田中美佐子、中山仁、西岡徳馬、高橋ひとみ、田島令子など。あらすじ大正重電に勤める30歳、サラリーマンの小木曾。妊娠中の妻・律子と一人息子・洋一のために今日も働いている。ある夜、自分に目をかけてくれている若き重役、岩波のお供で銀座の高級クラブに出かけることに。誰も自分のことなど
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検事霧島三郎シリーズ3・高木彬光「ゼロの蜜月」を読む

1965年刊行の検事霧島三郎シリーズ第3弾。1988年に火曜サスペンス劇場六月の花嫁シリーズでテレビドラマ化。主演は浅野ゆう子。田中健、高松英郎などが出演。あらすじ龍田恭子と無事結婚した霧島三郎。その恭子の親友、尾形悦子が結婚することになったが、新婚初夜に夫・塚本が失踪し、翌朝死体となって発見された。事件を担当することになった三郎。捜査が進むにつれ、大学助教授だった塚本にはいろいろと謎があることが
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