1967年発刊の長編アクション小説。
服役中に兄を自殺に追いやられた弟が
それを行った人物と企業を徹底的に追い込んでいく話。
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あらすじ
戦争で亡くなった両親の代わりに育ててくれた兄が、
自分が刑務所に入っている時に不慮の死を遂げたことを知った羽山。
迷惑をかけ続けた兄の復讐を誓い、
ありとあらゆる方法で兄の妻、義父、お手伝い、
弁護士などを篭絡したり亡き者にしていったりする。
ついには会社乗っ取りも企み、成功したかに見えたが――という話。
感想
名作『野獣死すべし』と西城秀夫シリーズを混ぜ合わせたような内容。
アランドロン主演映画『太陽がいっぱい』的な趣もあるかな。
戦争というバックボーンに基づく男の復讐が巻き起こるみたいな。
なもんで、それぞれのいいところが凝縮されているという見方もできる。
反面、途中で亡き兄の妻で悪妻・洋子と外国に行くのだがここはどうか。
なんかわざわざ行かんでもね。
後に起こる「ロス疑惑」事件なんかこれヒントにしたんかな。
この外国に行くあたり、羽山に一貫性がないような印象を受ける。
あと相手が弱い。羽山がピンチになるのはほぼ最後だけ。
罠は仕掛けられるところもあるけど、それがピンチとして生きてこない。
復讐に手を染めていくうちに羽山の心情に変化があるところはいいけど。
1991年初版の光文社文庫バージョンを読んだのだが、
船戸与一さんの解説がものすごく熱い。
単なるアクション小説ではなく、味のある作品。