1975年出版の「黒の図説」シリーズ第7弾。
もともとは「週刊朝日」1970年12月から約半年連載。
1979年、1997年、2011年と3度テレビドラマ化。
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あらすじ
農林省食糧課係長の浅井。
エリートコースとは程遠い下級公務員の彼は、
どんだけ頑張っても課長どまりで定年だが、
実務は彼なくしては成り立たないくらい頼りにされている。
ある日、神戸に出張中の浅井に予期せぬ出来事が。
妻の英子が外出中に心臓まひで亡くなったというのだ。
それなりに妻を愛していた浅井だが、
心臓に問題のある妻がなぜこんな坂道を登って
知らない土地で死んだのか次第に疑問が起きてくる。
もしかして妻は浮気をしていたのか――。
浅井は探偵社に依頼し妻の知らない姿を突き止めるのだが――という話。
感想
被害者が加害者になっていくという展開。
しかし、こういう小心者の公務員を書くのは抜群に上手い。
だいたい、いらんことせんときゃよかったのよ。
変に真面目というかそういうとこが災いを招くのだが、
しかし人間ってそういう行動起こすよねえと妙に共感。
自分の立場を守ろうとするとこけるのよね。
ほんとに復讐するなら農林省辞めてとことんいかんと。
義妹の存在をもっとうまく使えればいいのにね。
そのあたり3度のドラマではどんな感じなのやら。
1979年版は土曜ワイド劇場。まだ2時間になる前。
浅井は藤田まこと、英子は大谷直子。
長谷川明夫、森下愛子、中原早苗、名古屋章、仲谷昇らが出演。
1997年版は月曜ドラマスペシャル。
浅井は風間杜夫、英子は大島さと子。
原田大二郎、床嶋佳子、左とん平、北村総一朗らが出演。
2011年版は水曜ミステリー9。
性転換して浅井は名取裕子。松本清張ものが似合いますな。
酒井美紀、大杉漣、金田明夫、川上麻衣子、渡辺いっけいらが出演。
どれも見てないんだよねえ。
機会があれば見てみたい。
原作読んでたら浅井なんか、昔の目黒祐樹とか似合いそう。
映画「華麗なる一族」の万俵銀平みたいな。
英子は誰かねえ、難しいですな。
追記
1979年の土曜ワイド劇場版を観る。
まだ90分の時の話。
ま、原作と大きく違うところはなんせ英子が最初に死なない。
英子の妹・森下愛子の存在が大きくフィーチャーされている。
ラストは難しいところで、どっちもどっちかなあと。
ま、男からすれば英子の身勝手さはかなわんなあって気がする。