1966年刊行の長編小説。
もともとは1965年1月から1966年5月まで
「小説現代」に連載されていた作品。
1982年に火曜サスペンス劇場でテレビドラマ化。
映像化は今のところこの1回だけで、近藤正臣、風吹ジュンなどが出演。
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あらすじ
不動産ブローカーの粕谷は仕事仲間の小泉と行った
赤坂の寿司屋で、元愛人の登代子と再会。
登代子と一緒にいた男が一流銀行の不動産部に勤める坂本と知り、
金に窮していた粕谷は新たな儲け口になるのではと強引に登代子とよりを戻す。
そんな時、旧陸軍の約四万坪という広大な国有地の情報が。
埼玉の岩槻にあるその土地は、手続きが大変でいまだに払い下げになっていないらしい。
粕谷は登代子を巧みに操り、坂本の勤める銀行に接近。
支店長から払い下げの裏工作の資金を引き出し、
バーのマダムを使って選挙資金にピーピーしている代議士に接触。
国有地の払い下げと転売で一攫千金を狙った粕谷だが――という話。
感想
一種のピカレスクロマンっちゃそうなんだけど。
正直、あんまり粕谷に魅力を感じない。
なんせ、前半がダルい。とっとと行けって感じ。
後半になると俄然盛り上がってくるけど。
旧陸軍の土地払い下げってところが、さすが松本清張。
目の付け所がいいですな。
こんな土地、結構あったんだろねえ。
政界の黒い霧事件が頻発していた連載当時。
国有地の払い下げに関する事件も発覚していた。
タイトルは「かひょう」って読むみたいだけど、どういう意味なんだろ。
花は女性だろうけどねえ。氷は男かいな。現代は逆かも。
当然、最後にゃ破滅がやってくるわけだが、
そこがなんちゅうかね、ちょっと弱い感じがする。
ドラマはそのあたり、どうなってんのか注目。
一度きりの映像化は近藤正臣さんが主演。
風吹ジュンさん、ミーちゃんが翻弄される女性。
登代子が粕谷の元妻で、今は坂本の妻って設定が原作とちゃいますな。
それがいい方向に出てんのか、違うのかは見てないからわかんない。
あらすじだけではわからんもんね。
これ、女性側から描いたら違うものが作れるかも。