時代小説・笹沢左保「木枯し紋次郎(1)赦免花は散った」を読む

光文社時代小説文庫から以前出ていたシリーズもの。記念すべき木枯し紋次郎初登場作「赦免花は散った」から「流れ舟は帰らず」「湯煙に月は砕けた」「童唄を雨に流せ」「水神祭に死を呼んだ」の計5編を収録。最近「時代劇本格ミステリ」というのが流行りつつあるらしいが木枯し紋次郎なんかはその先駆けともいえるのでは。なんせ著者の笹沢左保さんはもともと本格ミステリのお方。時代小説にどんでん返しを持ち込んだ功績はとてつ
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傑作時代小説・隆慶一郎「一夢庵風流記」を久々に読む

平成元年出版の傑作時代小説。主人公は戦国末期の時代を生き抜いた前田慶次郎。マンガや舞台にもなり前田慶次郎=傾奇者のイメージが付いた。あらすじ時は戦国末期。天下の傾奇者として名をはせた前田慶次郎。剛毅ないくさ人でもあり風流を愛した人でもあった。自由を愛し奔放苛烈に時代を生きた男の生きざまとは――という話。感想久々に読んだがやっぱり面白すぎる。もともと最初読んだ時はドラマの企画書を書く目的だったのだが
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第16回このミス大賞・優秀賞受賞作「筋読み」を読む

第16回「このミステリーがすごい!」大賞・優秀賞受賞作。王道の警察小説で、タイトルは警察用語「スジ読み」から来ている。あらすじ女性モデルを殺害したと出頭してきた男・山下。現場に会ったDNAが彼のものと一致し、犯人間違いなしと思われたが警視庁捜査一課の飯綱刑事だけが異を唱える。飯綱は捜査を外され、車に轢かれた少年がなぜだか直後に連れ去られるという事件を担当することに。少年の居場所を見つけ出し無事保護
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名作警察小説・結城昌治「夜の終る時」を読む

第17回日本推理作家協会賞受賞作。1979、1991、2007と3回テレビドラマ化。悪徳警官を描き警察小説のはしりとなった名作。あらすじ裏社会と癒着が指摘されていた徳持刑事。その理由は幼馴染がヤクザの幹部になっていたからだった。ある日、徳持刑事が失踪。翌日に死体となって発見される。疑惑の同僚の死にやりきれない思いの安田達刑事はもやもやを振り切るように捜査に没頭。ついに幹部の関口を見つけ逮捕にこぎつ
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西村京太郎166「悪女の舞踏会」を読む

1990年刊行の短編集。単行本未収録作品をまとめたもの。1「悪女の舞踏会」は1964年発表の作品。金持ちの後妻に収まっている女。その彼女にいいように弄ばれた2人の男と恋人を奪われた女。ある日、誕生パーティーにその3人が招かれる。それぞれがこのふざけた女を殺したいと思っていたのだが、金持ちの夫が彼女のグラスに入ったシャンペンを飲んで死んでしまう。女に恨みを持った誰かの犯行か、それとも財産目当ての女の
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ハードボイルド・結城昌治「暗い落日」を久々に読む

1965年出版の長編ハードボイルド。真木シリーズの第1弾にあたる。日本のハードボイルドの嚆矢とも言える作品。1983年に火曜サスペンス劇場で山本陽子・髙橋悦史主演で映像化。あらすじ元刑事で私立探偵の真木。ある日、資産家の磯村から孫娘の捜索を依頼される。劇団の研究生だった乃里子の行方を追う真木の前に、次々と新しい事実が明らかにされ、そして殺人が――という話。感想読み返すたびに面白くなる味のある作品。
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林真理子「ファニーフェイスの死」を久々に読む

1987年出版の名作。特にラストシーンが心に残る。あらすじ昔なじみのフリーライター・井田が初めて出版した本。驚くほど派手な出版記念パーティーにかけつけた恵子。博多に嫁いでからは東京に来ることは全くなかった。恵子がかつてモデルをしていたことを知る人はほとんどいない。ホテルに帰り本を読んだ恵子は、思わず井田に電話して激怒した。同じモデルクラブに所属していたゆい子のことが――。1960年代、高度成長期の
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江戸川乱歩賞受賞作・桐野夏生「顔に降りかかる雨」を久々に読む

第39回江戸川乱歩賞受賞作。女流ハードボイルド作家の誕生が話題を呼んだ。あらすじ親友のノンフィクションライター・燿子が一億円を持って失踪。その金は警察に届けることのできない金だった。大金を預けたのは成瀬。暴力団に繋がる中古車ディーラー。とばっちりを受けた村野ミロは一週間以内に成瀬と一億円と燿子を探し出さなければ東京湾に浮かぶハメに。燿子はベルリンのレポートでライターとして浮かび上がろうとしていた。
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ハードボイルド・香納諒一「春になれば君は」を久々に読む

1993年出版のハードボイルド学園ミステリ。当時あった角川ミステリーコンペの一冊だった。あらすじ元カメラマンで探偵の辰巳。彼は3年前やらせ事件の発端となった写真を撮影していた。その中の一人、甲子園が有力視されていた投手。彼は殺人の嫌疑をかけられ逃亡していた。辰巳は早紀という少女からその元投手の捜索を依頼される。辰巳は否応なく三年前の事件と向き合うことになる。新興学園都市に隠されたどす黒い中身、巻き
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実話に基づくノンフィクション・ノベル・清水一行「風の骨」を読む

1977年初出の作品。モデルになったのは1952年大分で起きた菅生事件。駐在所爆破を警官がでっち上げたフレームアップとして有名。あらすじ朝日新聞社に勤めている新聞記者・池島。しかし、小倉に転勤した後レッドパージにあう。地域新聞を作るなどしながら糊口をしのぐ池島だが黒人脱走兵事件などを扱いGHQににらまれ囚われの身に。サンフランシスコ講和条約が成立し釈放された池島はひょんなことから豊後日日新聞の社会
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