西村京太郎37「炎の墓標」を読む

1978年出版の十津川警部もの。
初期の社会派作品群を彷彿とさせる内容。映像化はまだなし。

炎の墓標 (講談社文庫)
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あらすじ

マンモス・タンカーの爆破中止と引き換えに
百万ドルを要求する脅迫電話が新太平洋石油にかかってきた。
それをインドネシア、バリ島のデンパサールにある小さな商会に振り込めという。

十津川警部と亀井刑事が急行するが巧妙な犯人の罠でタンカーは爆破される。
続いて親会社の会長が誘拐され身代金は同じく百万ドル。振込先も同じ。
十津川はなぜインドネシアなのか?という点に疑問を抱く。
背景には小さな島に水道をひいた事業に関する哀しい事件があった――。


感想

トラベルミステリー爆発前の隠れた名作。
事件の面白さ、意外さ、それに関わる人間の面白さ。
企業の非情さ、組織のむなしさ、若者の可能性。
やや画一的なきらいもないではないが、だいたいこういうのはそっちの方が合う。

インドネシアというのは中薗英助「密書」や三好徹「風塵地帯」など
割とポリティカル。ミステリーの舞台となった歴史を持つ。
それだけ政情不安だったということもあるが、日本とのかかわりは深い。
ほじくりかえせばもっといろいろ題材はあるような気がする。
マンモス・タンカーの爆破予告というスケールの大きな事件と
その背後にある企業のエゴ、人間の醜さなどを明らかにする作品。
こういうのやってみたい。

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