小林久三「社命誘拐」を久々に読む

1978年の企業ミステリ。

あらすじ

洋酒業界の老舗である東和醸造。
しかし、最近は業績が下降気味で他社に水をあけられていた。
宣伝部企画室で働く西沢はこれまで何度も改善案を出していたが
ことごとく無視されてきた。
ところが、専務の村木に認められ企画室長に昇格したのだ。
異例の抜擢に戸惑う西沢だが、さらに仰天することがあった。
なんと「社長令嬢を誘拐せよ」との命令を村木から下されたのだ。

あまりに突飛すぎる命令に疑念を抱いた西沢は
いったんは断るものの、一年前にひき逃げで死んだ妻の
事件の真相を匂わす密告電話を受けて命令に応じることにする。
偽装誘拐という茶番劇は簡単に成功し、身代金を受け取った西沢だが
社長令嬢は何者かに隠れていたホテルで絞殺される。
さらに密告電話をしてきたと思われるバーテンダーがひき逃げで殺され、
村木の部下であった部長が西沢の自宅の庭から死体で見つかる。
誘拐殺人犯人として指名手配され、警察に追われる西沢の運命は?--という話。


感想

小林久三さんといえば松竹のプロデューサーだったお方。
乱歩賞を「暗黒告知」で受賞しデビュー後は、
映画界を舞台にしたミステリや歴史ミステリなどを手掛けた。
結構以前は映像化されたものも多かった。
一言でいえば本作は誘拐もの×企業ミステリという感じ。
むちゃくちゃな命令なのだが、何の世界でも上下関係はある。
人によっては自分の身にもあるかも、とか思ってしまうでしょうな。
ミステリとしては割とどんでん返しは決まってるけど、
それしかないかなあと予想できなくもない。
終わりもほろ苦いものがあり、企業社会の厳しさを教えてくれる一冊。

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