藤田宜永「地獄までドリブル」を久々に読む

1992年出版の傑作ハードボイルド。
海外サッカーが絡んでいるところが新しかった。
タイトルも読み進めるうちに秀逸だなと感じる。

あらすじ

舞台はパリ郊外の町、ゴビニ―。
映画を学ぶためにパリにやってきた経験を持つ西貝。

B級映画に東洋人の役で出た経験もあるが、
気づけばいつのまにやら当初の目的は挫折し、
今では日本人観光客相手の旅行会社に勤務する
平凡なサラリーマンと化していた。

愛する妻を5年前に交通事故で亡くした西貝の
唯一の希望と言えるのが一人息子のパトリス。

サッカー選手として将来を嘱望されたパトリスだが、
ある夜、警官の誤射によって傷を負い半身不随の身体に。

そしてパトリスは自殺したが、疑惑が残された。
父としてその謎は解き明かさねばならない。

西貝は仲間の助けを得ながら真相に近づいていくが――という話。


感想

めちゃくちゃ面白い。
読後感のやるせなさといい最高のハードボイルド。

ま、アクションは少々都合がいい気もするが
真相が明らかになる過程の妥協の無さが素晴らしい。

普通はどうしても甘くなりがちなんだけど
そういうとこの見極めというか切り取り方がいい。

元刑事で今は私立探偵のシュベルマンとか
背伸びする若者オマールとか仲間の造形も魅力的。

ちょうど出版時期ってあれかな、
マルセイユの八百長スキャンダルの時期かな。
ちょっとこっちの方が早いか。

でも問題が噴出する萌芽はすでにあったってことだねえ。
ある意味時代を先取りしてたんですな。

こういう話書きたいなあ。刺激になった一冊。

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