結城昌治「あるフィルムの背景」を久々に読む

1972年初版の著者自選推理小説集。
この年は直木賞受賞作「軍旗はためく下に」が
深作欣二監督によって映画化され高い評価を受けた。

「暗い落日」に代表されるハードボイルド、
「ひげのある男たち」に代表されるユーモア・ミステリー、
「ゴメスの名はゴメス」に代表されるスパイ小説、
「夜の終る時」などの警察小説というふうに各分野を切り開いてきたお方である。

個人的には土屋隆夫と並び推理小説分野に高い文学性をもたらしたお方と評価している。

結城昌治の特徴と言えば、市井の哀歓を憤りや風刺を通して描くことにある。

この作品に収められているのは
「惨事」「蝮の家」「孤独なカラス」「老後」「私に触らないで」
「みにくいアヒル」「女の檻」「あるフイルムの背景」の計8編。

表題作になっている「あるフィルムの背景」のフィルムは
ブルーフィルムのことで、なかなか時代を感じさせてくれる。

これザ・サスペンスで映像化されてんだよねえ。
小野寺昭、秋野暢子、金沢碧、室田日出男などが出演。
いかにも80年代。安倍徹郎脚本ってとこがいいやね。
まだ観てないけどDVDは発売されている。

一方、「孤独なカラス」なんかは
現代でもというより現代の方が通用しそうな
少年の孤独と屈折、異常行動の問題がすでに描かれている。

「老後」という作品はこれぞ因果応報と言える内容。
劇画とかにしたらさぞかし映える内容だろう。

その他にも「惨事」などは
社会で起きていることで自分に降りかからないものなど
何1つないということを教えてくれる。

「惨事」は1982年にザ・サスペンスで映像化。
古手川祐子、誠直也、伊東四朗などが出演。

少々古くはあるが、現代においても様々な教訓に満ちている一冊と言える。

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