1998年出版の短編集。
表題作のほか、「台風」「銀の塩」「トマト」
「紅の樹」「ダリアの夏」の計6編を収録。
あらすじと感想
「台風」はある人生という感じの話。
誰でも人を殺す可能性があるという日常の狂気をうまく切り取っている。
ビリヤードが話に深みをもたらしてくれる。そういや長い間やってないなあ。
表題作の「雪が降る」は企業小説でもありラブストーリーでもある。
「母を殺したのはあなたですね」とメールが届くあたりはサスペンスでもある。
中年と同僚の高校生の息子との会話、そして未送信の母親のメール。
やけくそ文章がうまい。これまで読んだ短編の中でも好きな作品。
「銀の塩」はミステリ仕立てのハードボイルド的作品。
こういう感じで外国人が登場するミステリは今後増えるかも。
「トマト」は独特のショートストーリー。
鏡よ鏡よ鏡さん、じゃないけどそんな感じ。人魚の世界。
「紅の樹」はギチギチのハードボイルド。
主人公の設定といい、終わり方といい短編ハードボイルドのお手本のような作品。
「ダリアの夏」は一転して少年との野球の話。
かつてドラフトにかかった主人公。だが大学でケガをして彼の野球人生は終わる。
こういうありそうな日常を取り上げるのがうまいなあと思う。
「雪が降る」と「紅の樹」は好きだなあ、やっぱり。