1990年刊行の時代小説。
もともとは1980年に発表された連作短編。
「火刑」「茶壷非情」「肩の涙」「師の影を踏む」
「盗賊に燃えた」「北国に消える」の計六編を収録。
あらすじ
時は徳川十一代将軍・家斉の治世。
家斉の密書を定められた刻限までに
目的地へ届ける使命を帯びて三人の武士が選ばれた。
手裏剣の秋元炎九郎。
剣の使い手、本荘錦之介。
槍の名手、太田又兵衛。
直飛脚と呼ばれる彼らは、
各々の武器を携えてある時は備前岡山藩、
またある時は蝦夷松前藩など家斉の密書を運んだ――という話。
感想
一口に飛脚といってもこんなに種類があったのね。
幕府公用の継飛脚、諸藩専属の大名飛脚、民間の町飛脚。
高校駅伝レベルでずっと目的地まで走ったんだから、
昔の人も結構体力あったんだろなあ。
通信が現代とは違い過ぎて緩やかなもんだが、
それだけに判断力も鍛えられたんじゃないかねえとも思う。
江戸表にメールして指示仰ぐわけにいかんもんね。
責任の所在がはっきりするから逃げられんし。
で、直飛脚というのがホントにあったかどうかは、よくわからない。
でも目の付け所がいいよなあ。
敵の妨害を受けながら活躍する三人。
三者三様の武器もさることながら、それぞれのキャラがいい。
下級武士の悲哀というか、本音というか。
わずか六編しかないのが、もったいない。
タイムリミットサスペンス&アクション&ロードムービー。
これなんか映像化しててもおかしくないんだけど。