1966年公開の東映時代劇映画。
長谷川伸原作、監督は極端なローアングルとクローズアップが特徴の加藤泰。
主演は中村錦之助、脇は東千代之介に渥美清、
女優陣は池内淳子、三原葉子といった面々。
Auto Amazon Links: プロダクトが見つかりません。
あらすじ
弟分の朝吉(渥美清)を抗争の犠牲にしてしまった沓掛時次郎(中村錦之助)。
鴻巣一家に草鞋を脱ぎ、一宿一飯の義理で敵対する三蔵(東千代之介)を斬る。
今際の際の頼みで、時次郎は三蔵の女房・おきぬ(池内淳子)と
息子・太郎吉(中村信二郎)を親戚に送り届ける旅に出た。
夫の仇を憎もうとするおきぬだが、
追手を避けながら自分たちを守ろうとする時次郎の優しさに次第に惹かれていく。
時次郎もまた、おきぬに惹かれていた。
ある日、病に倒れたおきぬを必死に看病する時次郎。
どうにか回復して旅立とうとした時、おきぬと太郎吉は姿を消す。
それから1年後。時次郎は二人と再会するのだが――という話。
感想
この頃は時代劇は衰退を極め、任侠映画が多く作られている頃。
内容にもそういった傾向は少なからず反映されている。
やくざ渡世のしがらみと愛の間に苦悩する男を中村錦之助が熱演。
後の「柳生一族の陰謀」や「赤穂城断絶」の様なオーバーな感じはない。
何度か映像化されているこの作品の中でも最高傑作と言われている。
股旅映画、純愛映画としても屈指の名作で一宿一飯の義理で
何の恨みもない人間を斬らなきゃならない義理人情の板挟みにあう主人公、
仇なのにいつの間にか情感が流れる男女の関係が素晴らしい。
これぞ長谷川伸の世界。
よく映画を観ていると2時間長いな~と感じてしまう作品もあるが
この作品は90分という短さにも関わらず、観終わった後すごい満足感がある。
それだけムダがなく優れた構成だったということ。
あと雪景色とかスタジオなんだけどとても風景に味がある。
派手な立ち回りの時代劇映画もいいけど、
こういう情感豊かな時代劇も書いてみたいと思わせてくれた思い出の一本。