1992年初出の作品。柚木草平シリーズ第2弾。
あらすじと感想
かつての同級生や仲間と事件をきっかけに再会し、
互いの変化に老いを感じたり意外に思ったり
変わらないことに安らぎを感じたりしながら
ほろ苦い真実を手繰りあてる主人公――
という形式のミステリは珍しくはない。
古くは江戸川乱歩の「幽鬼の塔」なんかがあるし
若竹七海「スクランブル」(名作!)や東野圭吾「片想い」などいろいろある。
学園ミステリでもそういうのは多い。本書もその系列の作品。
別居している娘とともに訪れたスキー場で
柚木は高校時代の同級生で初恋の相手・卯月実可子と20年ぶりに偶然再会。
しかし、それから一カ月後、彼女の死を知る。
強盗殺人に見せかけられてはいたが、彼女の死を知らせてくれた姪によると
彼女は娘に「自分に何かあったら柚木さんに相談するように」と言い残していたという。
美貌で裕福、何一つ不自由ない人生を送っていたはずの彼女にいったい何が――。
姪の依頼を引き受け調査を開始する柚木。
同級生のうち特に実可子と親しかった面々と
久しぶりに再会し、真実に近づいていく――という話。
かつての旧友もしくは級友の意外な変貌というテーマは
ミステリをやりたい人にとっては一度は書いてみたいもの。
時には懐かしさ、そして時には残酷さ。
主人公の内面も描けるし映像的にも映え、小説にも映画やテレビにも合う設定だ。
しかし、これがワンパターンだったり
設定がつまらないとマイナスポイントになり
書きやすいと思いがちだが結構難しい分野。
そう言う点でいえば著者はデビュー作
「ぼくと、ぼくらの夏」や「刺青白書」など
かつての級友の意外な変貌というテーマのスペシャリスト。
変わっていく部分と、そこだけは残しておきたい部分。
その区別をはっきりとつけておくことが
自分の人生に幸せをもたらせてくれる。
あらためてそう感じた一冊。