結城昌治「死もまた愉し」を久々に読む

1998年初版のエッセイというか独特の語り口の本。
死の一年前に著者が語った人生論と句集が凝縮されている。

尊敬する作家は多々あれど、一人だけ選べと言われたら
やっぱり結城昌治さんを選ぶと思う。

ハードボイルドなら『暗い落日』、
スパイ小説なら『ゴメスの名はゴメス』、
警察小説なら『夜の終わる時』、
ユーモアミステリなら『ひげのある男たち』というように
いろんな分野の開拓者であったことがまず凄い。

時代小説に興味がなかった自分が読み始めるきっかけを作ってくれたのも
黒駒の勝蔵を描いた『斬に処す』だったし。

その他、直木賞を獲って映画化もされた『軍旗はためく下に』
評伝『志ん生一代』など挙げだしたらキリがない。

で、本書の話。
生まれから育ちから肺結核の療養生活、
推理作家を目指すことになった話などが網羅されている。

少年よ大志を抱けというが、そんなものは抱いたこともないし
抱かない方がいいと語る著者の言葉はまったく同感。

60歳を越えてからは余生だから
まず一年、目一杯新鮮に生きることって言葉を見ると
ものすごく肩の力が抜けるというかホッとするというか。

まだ60歳じゃないけど、人生100年時代とかばかり
言われてるとそんなに長生きしてもなあと思っちゃうもの。

なんちゅうか著者は恬淡と生きた人、ってイメージがある。
作品もそうだけどこういうふうに生きて行けたらなあという感じ。

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