森村誠一「黒の十字架」を読む

1981年出版の十字架シリーズ最終作。
羽代市とか大場一成とかどっかで聞いた名前が出てくるなと思いきや、
「野生の証明」に出てくる舞台と人物でしたな。映像化はなし。

あらすじ

若い芸者が殺され、身元を調べるうちに
A市からF県羽代市に売春組織に連れていかれた一人と判明。

秘密裏の捜査を指示された土谷は現地へと飛ぶ。
ところが、市政と警察を牛耳りさらに暴力団と癒着し
地域に君臨するボス・大場一成の存在はとてつもなく高い壁だった。

一部協力者と奔走し、真実を明らかにしようとする土谷の前に
自衛隊のクーデター計画を絡めた魔の手が襲い掛かる――という話。


感想

羽代市という「野生の証明」を思い出させてくれる作品。
治外法権化した地方というのがこの現代社会に存在するかといえば
まあ無きにしもあらずというところかねえ。

しょせん人間社会だもの、情報化がいくら発達しようが
本質はそうそう変わるわきゃありませんわな。

しかしまあ、自衛隊がミステリに取り上げられるのは
こんな話しか当時なかったんかいなと隔世の感がないわけでもない。

まあ平和ボケしていた時代の名残というか。
この頃は日本経済も今に比べりゃマシな時代で。
今じゃあ経済から土地から外国に食われっぱなしだもんねえ。

軍隊が力持ったら危ないなんてのは
それ自体はその通りなんだけど今じゃどうかな。
国を護るって意識は大事ですわな。

正しく権力が使われる日はやってくるんかねえ。
それよりゃ我が身どうにか守りたいって考えますわな。
それ自体が情報に毒されている証拠かもしれんが。

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