1985年初出の作品。
1993年に渡瀬恒彦版でテレビドラマ化。
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あらすじ
上野駅周辺で浮浪者を狙った
毒殺事件が立て続けに3件起こる。
青酸カリによる無差別殺人の
対策に苦しむ十津川警部や亀井刑事達。
そこへ「8000万を用意せよ K」の脅迫状が。
要求を飲まなければさらなる被害の可能性も。
十津川達は金の受け渡しの際に逮捕のチャンスを狙うが
上野駅構内の盲点を突かれ犯人は逃走してしまう。
共犯と思われる一人を何とか確保するものの
釈放要求を出され、爆弾によって共犯者は消されてしまう。
なぜ要求額は8000万なのか?
そしてイニシャルKの意味とは?
上野駅新幹線開通の日を迎える中、
事態は大きく動いていく――という話。
感想
上野駅の描写が細かく
当時の雰囲気が臨場感豊かに伝わってくる。
このあたりが小説の良さといえる。
トラベルミステリーと言えば列車や時刻表だけでなく
駅に着目したところが著者の先見性だろう。
しかも上野駅というところがまたいい。
犯人の動機の裏に隠されているものが
徐々に明らかになっていくのだが
なるほど駅の○○の場所はこういう裏があるのかなど
とても勉強になる。今でもそうなのかな。
映像化された際は
島田陽子がソープ嬢を演じるという点が話題に。
そんな人原作のどこにもありゃせんのだが。
まあ犯人に協力する女はいるにはいるが
かなり後半になってからじゃないと出てこない。
ドラマでは共犯者逮捕の際にいた
謎の女みたいになっているのだが。
したがって原作ではかけらもない
十津川とソープ嬢の心理戦が重要となる。
そんなことせんでもいいのにねえ。
肝心の動機の部分がものすごくしょぼくなる。
原作は駅シリーズの中でも上位に入る出来の作品。