内田康夫「志摩半島殺人事件」を読む

1988年初出の作品。
2001年にTBSで、2012年にフジで映像化。

あらすじ

山崎豊子の「華麗なる一族」、
映画「潮騒」の舞台になるなど
風光明媚な志摩半島。

ところが、そこで男の他殺体が浮かぶ。
被害者は元極道で自らの刑務所体験を書き
ベストセラー作家となった袴田啓二郎。

警察はかつての黒い交際が遠因とみて
捜査を開始するが犯人の目星はつかない。

その頃、海女の取材で現地を訪れていた
浅見光彦も事件を知り調査を始める。
しかし、彼が書いた原稿がもとで
若き海女に迷惑がかかってしまう。

そして、落ちぶれた元新聞記者が命を落とした――。

混迷を深めていく事件の背後に何があるのか。
事件を追いかける光彦だが、そこで彼が見たものは――という話。

 

感想

ミステリには犯人にこれでもかと対抗していく話もあれば
犯人に同情してその悲しみがせつなくやるせない話もある。
本書はあきらかに後者の方なのだが、
そのあたりもっとグッとくる方法はある気がする。

例えば、海女と事件のカギを握る作文を書いた少女が
別人というところが、良くも悪くも弱い気がせんでもない。
もっとも同一人物ならそれはそれでちょっと、ってなるかも。
そのあたり設定というのは簡単なようで難しい。

最初の方で小説界の話を地元の警部の心情で書いてある。
悪いことをしたそのことを自慢げに小説に書き、
それを世の中がまた大歓迎するという、とか。
○○賞の受賞作品といえば、ほとんど私小説ばかりである、とか。
もっとも「旅情ミステリ」に関する批判?もあるが
まあそのあたりはご愛敬ってところか。
本音もそこそこあるのだろうが。

犯人が捕まらない、というか見逃す?ラストは賛否両論あるかも。
作者の言葉であるようにまあそういうミステリもあっていいのでは。
そこの説得力が弱い感じはするけど。
浅見光彦らしいといえばらしいのかもねえ。

ま、俺はこんなキャラ生理的に合わんからよう書かんけど。

TBSの沢村一樹版のゲストが宮本真希、高橋克実、小野武彦など。
フジの中村俊介版のゲストが渋谷飛鳥、風間トオル、田中美奈子など。
観てないからなあ。ラストはどうなってんだろ。

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