島田荘司短編集「踊る手なが猿」を読む

表題作「踊る手なが猿」「Y字路」
「赤と白の殺意」「暗闇団子」の4編を収録。

「踊る手なが猿」

タイトルだけ見ると何のこっちゃという話なのだが
内容を読むとなるほどねえという話。

いろんなサインの出し方があるもんだ。
こういう独創性が魅力。

ミステリーでありながら一人の女性の成長物語でもある。

はたまた最後の一文はゾクっともさせられ、
恐怖サスペンスみたいな感じもあるわな。

「Y字路」

これが一番気にいった作品。
吉敷刑事も登場するし。

出だしが秀逸で自宅に帰ると見知らぬ男性の死体。
こんな時あなたならどうしますか、と突きつけられる。

選んだ方法が結局自分を窮地に陥れてしまう。

これまた最後に女が残した一言が印象深く
女心の複雑さと物悲しさが伝わってくる。

恋は盲目と言うけれど。
都はるみの「北の宿から」が頭の中でリフレイン。

「赤と白の殺意」

幻想的な感じで一番短い作品。

幼いころのトラウマって誰でも一つか二つあると思うのだが、
勇気を振り絞ってその原因を探しに行くという話。

「暗闇団子」

都立高の敷地から樽形の棺が見つかる。
中には男女二体の人骨と密封された小壺。

その裏には花魁と浪人との悲しくも切ない恋物語が隠されていた――という話。

ミステリーというより純愛小説。
全部通してみると、やっぱりこう切れ味がいいやね。

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