三好徹「諜報列島」を久々に読む

1985年出版のテーマ別自選作品短編集。
日本国内を舞台にうごめく各国の秘密組織の実態、
闇の世界を描き出した傑作スパイ小説短編集といえる。

「Y事件覚え書」「虚実のジャングル」「死んだ矢」
「約束」「影の使者」「迷路の空」の計6編を収録。

陸続きではなく島国でなおかつ単一民族国家である日本においては
スパイ小説の面白さは諸外国に比べて理解されない傾向にあった。

ところがどうして、日本ほどスパイ小説が受ける国はないはずなのだ。
なぜかといえば日本はスパイ天国だからである。

いろんな国の諜報機関が私たちの知らないところで跋扈している。
新聞やニュースで見るささいな事件が裏側にはとんでもないものが隠されているかもしれない。

「Y事件覚え書」はコールガールを使った謀略だし、
「虚実のジャングル」は冷戦時代を背景にしたものだし、
「死んだ矢」はスパイの非情さを暴いた鮮やかなどんでん返し。

「迷路の空」に至ってはよど号事件の前にハイジャックを扱っている。

この短編集の優れたところは諜報員をメインにするのはなく、
スパイ工作に巻き込まれた市民の恐怖をベースにしているところといえる。

出てくる小説は古くても、今日質を変えて私たちの目の前にあっても不思議ではない。

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