ドラマ原作・天藤真「遠きに目ありて」を読む

1976年初出の連作推理短編集。
「多すぎる証人」「宙を飛ぶ死」「出口のない街」
「見えない白い手」「完全な不在」の5編を収録。

あらすじと感想

いわゆる安楽探偵もの。
脳性まひを患っているが知性が並外れている少年・岩井信一と、
成城署の真名部警部のコンビが難事件を解決に導いていく。

いまでもなかなかこういう内容は無いかなあ。
「多すぎる証人」なんかは目撃証言が
いかに当てにならんもんかって話で、現代性もあるよねえ。

特捜最前線で「子供の消えた十字路」って話があったけど、
あれも目撃証言のあてにならなさのタイムリミットサスペンスだった。

1982年にはザ・サスペンスでテレビドラマ化。
主演は竹脇無我だった。

どの作品が原作になるのかなあ。観てないからわからない。
未亡人殺人事件って副題があるけど。
遺産目当ての脅迫事件? 「見えない白い手」が近いのかな。
それともいろんなところを取ってるのかもしれんけどね。

あとがきに著者が詳しく書いているが、
信一少年のキャラはもともと仁木悦子さんの
『青じろい季節』に脇役として登場したキャラを、
天藤さんが拡大し補強してつくりあげた人物とのこと。

仁木さんも天藤さんならばと喜んでOKしたそうで、
このあたり往年の作家の懐の深さというか、
友情というか人となりの良さを感じさせるエピソード。

作品はもちろんだが、なんかそういう話にほっこりさせられるのよね。
自分がおっさんになったからだろうか(笑)

信一に付き添っている母親・咲子のキャラも抜群で、
なんちゅうか味わい深い短編集。

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