山本薩夫監督・松竹映画「皇帝のいない八月」を久々に観る

1978年公開の松竹映画。
もしも自衛隊のクーデターが起こったら、
という想定でそれに翻弄される人間の姿を描いた作品。
原作は乱歩賞作家・小林久三。

あらすじ

終戦記念日の前日、8月14日。
盛岡市郊外で不審なトラックを追跡していたパトカーが
機関銃で銃撃され炎上する事件が起きた。

次の日、郷里の鹿児島で亡き妻の墓参りをしていた
陸上自衛隊刑務部長の江美(三国連太郎)は、
内閣情報室長の利倉(高橋悦史)から炎上事件を知らされる。

そして自衛隊内外の不穏分子の一覧の中に、昔の部下で
一人娘・杏子(吉永小百合)の夫である藤崎(渡瀬恒彦)の
名前を見つけ愕然とする。

江美は杏子の住む博多に立ち寄るが、藤崎は運送業に打ち込んでいると
杏子から告げられる。だが、江美が帰った後、夫から東京に行くとの手紙が。

その日の夕方、業界紙の記者・石森(山本圭)はブルートレイン「さくら」を
博多駅で待っていると、ホームを走る杏子の姿を見かける。

2人はかつて結婚を誓い合った仲だった。

不穏な空気を感じ、首相官邸では緊急会議が開かれた。
大規模なクーデター発生の可能性が高まる中、議論ばかりで話が進まない。

その頃、さくら内では石森と杏子は一号車に連行され藤崎の姿を見る。
東京ではクーデターの黒幕を割り出し、
江美はクーデターの暗号計画「皇帝のいない八月」を発見。

各方面に展開された鎮圧作戦のせいで一斉蜂起に失敗した藤崎。
彼は作戦を「さくら」制圧に切り替え、各車両に爆弾を仕掛ける。

乗客360人を乗せたブルートレイン「さくら」は走る爆弾と化して
一路東京へ向かう中、この緊急事態に政府・警務部隊・国鉄首脳、

そして現場に居合わせた関係者はどう対処していくのか――。
石森と杏子の運命は?--という話。


感想

1978年と言えば現在は成立している有事立法を
自民党が国会に提出しようとしている時。

当時の荒船行官庁長官がクレームをつけたり、
予定されていたキャストが出演を下りたりするなど大揉めの中での製作だった。

列車を舞台にしたパニック映画と言えば
日本では「新幹線大爆破」「動脈列島」、
海外では「サブウェイ・パニック」「カサンドラ・クロス」などがあるが
さしずめ本作は「カサンドラ・クロス」日本版というところだろうか。

さすがの内容と言えばそうなのだが、久々に観てもスッキリしない感じがある。
石森と杏子の話で押してった方がよかったのかもねえ。

藤崎が主人公に見えてしゃあないから。ある意味そうなんだけど。
でも内容は当時より今日の方が現実的だし、観ておいて損はない一本。

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