深作欣二26・東映映画「現代やくざ 人斬り与太」を久々に観る

1972年公開の東映映画。
図式抜きの暴力を前面に押し出した作風が今なお衝撃的な作品。

あらすじ

滝川組の組員を斬って刑務所入りした愚連隊の沖田(菅原文太)。
5年後出所して川崎に戻ってみると、
その滝川組と新興勢力の矢頭組が勢力を二分していた。
沖田はかつての愚連隊の仲間である安夫(地井武男)、
鉄男(小林稔侍)、そして一匹狼の木崎(小池朝雄)たちと
2大勢力を相手に勝負を挑む。

矢頭(安藤昇)は彼らを傘下に置こうと
沖田が負傷したところをついて木崎を口説いて桜会を結成させる。
滝川組は関西の大物暴力団・大和会会長の大和田を味方に。
矢頭は不利な状況を打開するべく滝川暗殺に成功。
そして大和田とも手を結ぶことにこぎつけた。

あとは邪魔になった桜会を潰すだけ。
木崎は逃げる途中で殺され、沖田たちの命も風前の灯に。
投降しようとしたその時、沖田の目の前で事件が――という話。


感想

チンピラがやくざに成りあがっていく話ではなくて
チンピラがそのままチンピラとして暴れまわり
はかなく死んでいくといった話を確立させた画期的な作品。
それまでの任侠映画と言えば主人公がワルということはなかった。
ひたすら悪いことをする主人公というところが魅力的で
ピカレスクロマンとはまた違った破滅型主人公の登場に意義があった。

エネルギー全開の菅原文太に加え、三谷昇、渚まゆみなど
キャスティングにも味がある。
ラスト、自分の情婦の渚まゆみが殺され
菅原文太が怒りにまかせ暴れまわりズタボロに
撃ち殺されていく映像はインパクト抜群。
興行成績はそれほど振るわなかったが、
その後の実録路線を作るうえで欠かせなかった作品といえる。
感情移入できる主人公では全くないけど(笑)

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