伝説のハードアクション・西村寿行「白骨樹林」を読む

1977年初出のハード・サスペンス。極秘裏に開発された細菌兵器を巡って、CIAからKGB、警察から自衛隊を巻き込んで日本各地で暗闘を繰り広げるという相変わらず口あんぐりな展開が魅力。あらすじ北海道の研究所から超極秘の物体を九州の基地まで20日に以内に運ぶよう依頼された元関東軍情報組織の生き残り・叶捨吉(スゲー名前)。ダミーを使いながら北海道を飛び立ったものの、何者かの追撃を受けて焼岳に激突してしま
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土屋隆夫短編集「孤独な殺人者」を読む

1994年出版の光文社文庫版。表題作のほか、「淫らな骨」「加えて、消した」「情事の背景」「淫らな証人」「正当防衛」「ゆがんだ絵」「肌の告白」の計8編を収録。あらすじと感想8作中5作がテレビドラマ化されている。「淫らな骨」刑事の日誌風な感じが興味を引く。主任の突然の死に隠された意外な真実を暴いていくもの。一つの軽犯罪から殺人事件に至る動機の立て方が見事。主任の哀愁とそれを理解する刑事の男の絆が印象的
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西村寿行「濫觴(らんしょう)の宴」を読む

1983年出版のハード・バイオレンス小説。映画化されたらさぞ面白いことだろう。あらすじ府中競馬場の売上金39億5千万円が何者かに奪われた。現金輸送車を高速道路で大型ヘリによって吊り上げるという前代未聞の犯罪。捜査陣は大至急輸送車の行方を探すが、見つかった現金輸送車は張りぼてで犯人はどこかへ消えた。警視庁捜査員の黒沼警部は犯人の行方を追う。犯人は39億5千万を何に使おうとしているのか。やがて黒沼は父
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千草検事シリーズ4・土屋隆夫「盲目の鴉」を久々に読む

1980年出版の千草検事シリーズ第4弾。1986年に土曜ワイド劇場で『青いカラス連続殺人』としてテレビドラマ化。主演は片岡孝夫。林寛子、浅茅陽子、藤岡琢也などが出演。あらすじ『オリンポスの果実』で名を馳せた無頼派作家・田中英光。その全集の解説を依頼された評論家・真木がある日忽然と姿を消した。依頼した編集者の奈穂子は責任を感じてしまう。一方、劇作家志望の水戸が喫茶店で何者かに毒殺される。通りがかった
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日下圭介「『野菊の墓』殺人事件」を読む

1988年初版の長編ミステリ。伊藤左千夫『野菊の墓』に絡んだ仕掛けが面白い。あらすじ東邦新聞社会部に匿名の電話が入った。自殺とみられた水死体が実は殺人だというのだ。社会部記者・瀬沼は他の事件で忙しい中、徐々にその電話に興味を持つ。一方、文芸部勤務のベテラン・牧田も匿名の投書に関心が湧く。伊藤左千夫『野菊の墓』にはある秘密があるというのだ。奇しくも2つの匿名の繋がりには北峰瞳子という謎の人物が。調べ
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ドラマ原作・笹沢左保「真夜中の詩人」を読む

1972年出版の長編ミステリ。1982年に火曜サスペンス劇場でテレビドラマ化。出演はいしだあゆみ、山口崇、山口いづみ、北村和夫など。タイトルは『誘拐の報酬』。観たいなあ。あらすじ平凡なサラリーマン・浜尾洋一郎の妻・真紀。一人息子の純一を産んで幸せに暮らしていた。妹・由美は全国的規模の老舗デパート・江戸幸の社員。ある日、その江戸幸の孫、和彦が誘拐され大騒ぎに。しかし、犯人側からは何の要求もなく時間だ
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乱歩賞作家・井沢元彦「忠臣蔵 元禄十五年の反逆」を久々に読む

1992年出版の歴史ミステリ。毎度おなじみ忠臣蔵の謎を劇作家が解き明かしていく話。あらすじ若き劇作家、道家和彦。いまさら忠臣蔵でもあるまいに、と思いながら食っていくためには仕方がない、忠臣蔵のそもそもを探り始める。なぜ浅野内匠頭は刃傷に及んだのか?どうして大石内蔵助は討ち入りを決断したのか?忠臣蔵の真相に近づくうちに道家の身にも危険が――という話。感想道家の身に危険が及ぶミステリは正直どうでもいい
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歴史短編集・松本清張「増上寺刃傷」を読む

初期に書かれた歴史短編集。表題作のほか、「願望」「奉公人組」「乱気」「雀一羽」「疑惑」「西蓮寺の参詣人」「贋札つくり」「明治金沢事件」の計9編を収録。あらすじ(増上寺刃傷)三代将軍家光の死去に伴い、殉死した幕閣は10人を超えた。そんなルールはどこにもありはしないのだが、大恩を受けて出世しておいて何事かという世間体がそうさせてたのである。ところがいつの世にもそんなもんたまったもんではないと考える人が
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名作ハードボイルド・生島治郎「男たちのブルース」を読む

1970年出版の長編ハードボイルド。同年にテレビドラマ化。連ドラだったのね。出演は芦田伸介、田村正和、加賀まりこ、水野久美など。脚本は倉本聰。なかなか豪華なメンバーじゃないの。DVD出してくれんかねえ。あらすじ終戦直前に特攻隊の出撃命令を任務で伝えたことで何人かの若者を死に追いやってしまった傷痕を胸に秘め、今は横浜の歓楽街でクラブ経営者として過ごしている泉一。かつての上司や部下が変貌を遂げる中、泉
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伝説の本格トラベルミステリ・島田荘司「死者が飲む水」を久々に読む

1983年初出の作品。その際のタイトルは「死体が飲んだ水」。1987年に現在のタイトルに改題、2008年には改定完全版が発刊された。あらすじ定年間近の札幌署の刑事・牛越。突如降ってわいた実業家殺しに当初は仕方なしに捜査するも、その複雑怪奇さに興味を覚え、いつしかこれを解決することが使命となってくる。事件は元官僚で天下りしていた実業家・赤渡がバラバラ死体となって二つのトランクに詰められ、家族のもとに
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