西村京太郎94・傑作「南伊豆高原殺人事件」を読む

1985年初出の作品。
1996年にTBS月曜ドラマスペシャル枠で
ドラマ化された作品は全映像化の中でも屈指の出来栄え。

展開の先が読めず最後の最後まで犯人がわからず
これぞサスペンスドラマといえる話だった。
確か視聴率もよかったはず。その原作がこれ。

あらすじ

中野で起きた5000万強奪事件を解決した後、
ほっとした気持ちで新聞を広げた十津川。

面白い広告を見つけたので亀井に声をかけた。
それは吉田興業の創立24周年を記念して
ミスター吉田・ミス吉田を以前募集したことのお礼の報告だった。

24歳という年齢制限と血液型まで記入というのが
話題を呼んでいたコンテストだった。

日下刑事も交えて血液型について話していたところ、
殺人事件発生の知らせが飛び込んでくる。

殺害現場は神宮外苑の木立の中で、被害者はまだ10代と見られる少女。

十津川は被害者の持ちものと見られるポシェットに
入っていたマッチから身元を手繰る。

さらに彼女の膣内から精液が検出され、その男の血液型はB型と判明。
十津川達は1週間前に起きた神奈川での同様の事件との類似性を感じる。

さらに3年前には大阪で同様の事件が3件起きていていることもわかった。

一方、ミスター吉田・ミス吉田候補に選ばれたメンバー達は南伊豆に行く。
シナリオライターの古賀は聡明な感じの荒木由美と知り合い好意を持つ。

また、木下という友達もでき楽しんでいた。
しかし、翌朝由美の姿が見当たらない。
責任者に聞くと急用で帰ったと聞かされがっかり。

さらに自信なさげだった木下がミスター吉田に選ばれ
またまたがっかりするも応援したい気持にもなった。

捜査が進まない十津川達の前に第3の殺人事件が起こる。

しかも被害者は荒木由美。
辿るうちに古賀と知り合った十津川達はコンテストの話を聞きこむ。

やっと手掛かりをつかんだのは犯人と思われる男が
希少な外車ポルシェ928S2を乗りまわしていることだった。

容疑者として浮上したのは吉田興業社長の次男、吉田悠二。
十津川達が向かうと違う男が部屋から出てきた。

悠二の大学の同級生、林邦夫。
2人とも血液型はB型、運転免許もある。

十津川達は2人のうちのどちらかが犯人と
予想するがどちらだと言い切れる証拠がない。

果たして犯人はどちらか?――という話。


感想

原作・ドラマ化作品ともどんでん返し&謎解きが魅力の本作品。

映像化の際は吉田興業ではなく高級レンタル会社
「キミヅカ」の美男・美女コンテストとなっている。

また、犯人は「赤い紐の悪魔」との異名を持つ。
このあたりの設定の妙とどんでん返しの素晴らしさ、
最後まで犯人が分からない構成力はさすが名脚本家長坂さん。

もっともそれを可能にしているのは原作の設定のうまさがあればこそ。
こちらも最後までいったいどっちが犯人?と手に汗握る展開になっている。

原作・テレビドラマ両方見比べてその素晴らしさを堪能していただけたらと思う。

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