三好徹「特捜検事」を久々に読む

1978年出版の短編集。
「重い悪の荷」「灰色の旅」「黒い飛沫」
「毒ある花」「偽りの夢」「復讐の虹」「檻の中の女」の計7編を収録。

東京地検特捜部の立花検事を主人公にした連作短編。
2年ほど前に再編集して出版しているようでその作品群は本書とは微妙に異なる。

そりゃそうだ、再編集版だもの。

東京地検特捜部が有名になったのはなんちゅうてもロッキード事件の時。

警察が手を付けることのできなかった政財界の黒幕たちを表に引っ張り出し、
不十分な面はあったにせよ、巨悪を白日のもとにさらしたことは今日でも評価されている。

で、本書はそんな華々しい活躍の話ではお世辞にもない。
ま、結構地味な話ばかりだ。

とはいうものの、ポルノ女優がらみの名誉棄損事件が
予想とは異なる方向へ発展していく「重い悪の荷」であったり、
悪徳警官の姿が浮き彫りになっていく「灰色の旅」であったり、
はたまたサラリーマンの悲劇を描いた「黒い飛沫」とか
犯罪を犯した人間の悲劇だったり哀しみは十分伝わってくる内容ばかりである。

「復讐の虹」のラストなんてのはある意味ホラーだ。
長編より短編の方がうまいような気がするんだよねえ。
なんだかんだで刺激になる一冊。

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