山村美紗「伊良湖岬の殺人」を読む

1992年初刊の短編集。
収録されているのは「越前岬の殺人」「足摺岬の殺人」
「襟裳岬殺人事件」と表題作の計4編。

あらすじ(越前岬の殺人)

かつては時代劇映画のお姫様役で活躍したものの、
今では売れずにずるずると女優を続けている夏川陽子。

その陽子に出番の多い久々の役が回ってきた。
陽子は張り切って撮影に臨むが、
越前岬のシーンで若い早川美紀子というタレントを
本当に崖下へ突き落してしまう。

落ち込んだ陽子をさらに不安の極致に追いやる手紙が届く。
かつて、自分が犯した我が子殺しが書かれた内容だった。

スターと不倫して産んだ赤ん坊を、
陽子は東尋坊から投げ捨てた過去を持っていた。
ロケ現場に赴く途中に知り合った若者の顔を思い浮かべる陽子。

ところが、美紀子が毒を飲んでいたことが判明し、
事件は意外な展開に――という話。


感想

これはラストの一行がインパクト大。
ある意味ブラック、ある意味やるせない。
短編ミステリらしい切れ味に満ち満ちている。

浮き沈みの激しい芸能界の愛憎、
人間ドラマに密室トリックなど結構てんこ盛り。

2001年に金曜エンタテイメントで放送された
「ニュースキャスター・沢木麻沙子4」の原作らしいのだが、
ほとんど関係ない内容といっても過言ではなさそう。

サブタイトルも「京都・加賀殺人事件」だし。
まあ、そういうことも結構ある。

とにかく、ラスト一行の切れ味が素晴らしい。

他の3つのうち、襟裳と伊良湖は名探偵キャサリンもの。
いずれも映像化はないし、内容も特に・・・言うことはないかな。

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