1977年出版の短編集。
交通ミステリーに特化した作品集で、
表題作のほか「ハバロフスク号殺人事件」「特急夕月」
「山陽新幹線殺人事件」「ローマ急行殺人事件」の計5編を収録。
いずれも映像化はなし。
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あらすじと感想
表題作「77便に何が起きたか」は
東京発福岡行きの飛行機が空中で大爆破。
手荷物に時限爆弾が仕掛けられていたことが判明し、
爆死した乗客は51名。
その中にわずか人口5万人のT市の住民が4人。
さらには飛行機に乗り損ねた人間が1人。
これは偶然なのか?
捜査陣はこの事実に着目するが、5人の間には何の共通項もない――という話。
着想がやっぱり面白い。
一つ間違えれば何に巻き込まれるかわからん世の中は今も同じ。
梅田歩いてて空から人落ちてきたら避けれんわな。
「ハバロフスク号殺人事件」は
1976年に起きたバイカル号殺人事件がモチーフ。
横浜からナホトカに向かう船の中で、
日本の女子大生が行方不明になり6日後北海道の沖で遺体となって見つかった。
他殺と認められ、犯人はソ連人の四等航海士と判明したが
犯行現場が公海上で管轄権が及ばないことから捜査打ち切りになった事件である。
こんな事件あったんだねえ。
いろいろ掘り起こせばネタは尽きない。
斎藤栄さんが書いてるのはこの事件かな。
タイトルを後に変えたりしてるけど。
こういう事件シリーズみたいなの書いてみたいねえ。
「特急夕月」は時刻表トリックなんだけど、
それを実行する犯人の視点から描いているのが面白い。
ラストはなかなかのブラックユーモアで映像的に映えるのでは。
「山陽新幹線殺人事件」はアリバイトリックの話。
この電話の手法、現在でも使えるんかねえ。
「ローマ急行殺人事件」はいわゆる安楽椅子もの。
ローマ急行の中で起きた奇妙な日本人殺害事件を
私大のフランス文学教授が推理していくという内容。
ラストがどうかなあというとこではあるが面白さはある。
やっぱり趣向の凝らし方がうまいと思う交通ミステリー傑作選。