乱歩賞作家・長井彬「M8の殺意」を読む

1983年出版の作品。
原型は第26回乱歩賞最終候補作「M8以前」。
翌年「原子炉の蟹」で第27回乱歩賞受賞でデビュー。

M8の殺意 (講談社文庫)
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あらすじ

ある新聞が特集した東海大地震に関する記事。
この情報は瞬く間にパニックを巻き起こした。
この報道に批判的な立場の木村教授の周囲に様々な怪事件が巻き起こる。

事件の背後にどんな真相が隠されているのか。
木村教授の一人娘と付き合う七宮記者と
その上司である曽我は事件の真相と哀しい真実に辿り着く――という話。


感想

火サスでやった「原子炉の蟹」いいドラマだったなあ。
ラストシーンのやるせない感じがたまらなかった。

それはさておき本作だが、正直地震の話はそれほど関係ない。
その報道を巡って浮かび上がる人間模様というかそっちがメイン。
この頃、新聞記者出身の乱歩賞受賞者って結構いるよねえ。
著者は毎日新聞定年退職後に乱歩賞を受賞するわけだが、
この時代定年は55歳だったのだ。

当初はこの作品を始め社会派推理小説が多かったが
後に山岳小説を多く手がけていく。

ラスト、真実が明らかになるわけだがこれが何ともやるせない。
情報の詰め過ぎなのか途中少々読みづらさを感じる部分もないではないが
(不思議と新聞記者出身の人はそういう傾向がある)
今日においても古びないネタだし、余韻が残るラストは必見。

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