伝説のヤクザ映画「竜二」を久々に観る

1983年キネ旬ベストテン第6位の作品。
念願の映画初主演を果たしながら、
公開直後にがんで33歳でこの世を去った金子正次の遺作。
たった一作で伝説になったお方である。

あらすじと感想

それまでの義理人情中心、または実録路線とも違う
新しいヤクザ映画として今なお光を放っている本作。

当然派手なドンパチや殴り込みはない。
竜二達は地味にしかし危ない仕事をして金を稼ぎ
家庭を持ち子どもを愛する。めっちゃ庶民的。

家庭を大事にしようとヤクザ稼業から足を洗うが
堅気になったらなったで焦り葛藤する。

今までなら数分で稼いでいた金が
汗水たらして1ヶ月経っても全く届かない。

堅気になって手に入れたはずの
やすらぎ・幸せというものは、とてもはかなくもろいものだった。

ともに足を洗ったものも貧しく、
残ったものは一人前を気取り薬に溺れる者もいる。

次第に手に入れた幸せが後ろめたく、わずらわしく邪魔に感じてくる。
やがてつかの間の幸せに背を向けて竜二は歩き出すことになる。

家族との別れは夜景が見えるホテル・・・なはずがない。

 

肉屋の前である。

 

エリートサラリーマンであろうが日払い労働者であろうが
あのラストシーンを見てグッとこない男は男じゃないだろう。

完成度だ構成だとそんなものは関係ない。

相当悪条件でやってるであろうことが容易にわかる作りが
熱意に満ち満ちている姿がフィルムから伝わってくる。

映画作りに賭けた金子正次という人を忘れてはならない。

 

余談だが劇中に出てくる竜二の娘は金子正次の実子である。
本人はまだ小さかったため、映画のことは覚えてないらしい。

ま、そりゃそうだ。

しかし、オープニングとエンディングで流れる
ショーケンの「ララバイ」は相変わらずいい曲だ。

これを書けたら死んでもいい。
もの書きってのはそういう姿勢でやらんとあかん職業である。

ということをあらためて実感。

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