1966年公開の大映映画。
原作は言わずと知れた山崎豊子。
主演は後のテレビドラマ版でも主役の田宮二郎。
鵜飼教授の小沢栄太郎、大河内教授の加藤嘉も同じ役。
大学病院の内幕を暴いたため、撮影協力を断られまくりながらも
複雑に入り組んだ人間模様をダイナミックに描き大ヒットした。
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あらすじ
名誉ある浪速大学医学部。
ここでは翌年定年退官となる東教授(東野英治郎)の
後任を巡り激烈な事前工作運動が行われていた。
最有力候補は東の教え子、助教授・財前五郎(田宮二郎)。
しかし、東は財前の傲岸不遜な人間性を嫌っていた。
それを察している財前は医学部長・鵜飼(小沢栄太郎)に接近する。
東は自身の出身である東都大学系列・金沢大学の
菊川教授(船越英二)を推薦し、娘の佐枝子(藤村志保)との結婚を目論む。
教授選の日まで財前、菊川、そして独自の思惑から
野坂教授(加藤武)が推す葛西の三つ巴の争いが続く。
そんなある日、財前は同期の里見助教授(田村高広)の依頼で
佐々木庸平(南方伸夫)の手術を手掛ける。
教授選に気を取られていた財前は、術後の佐々木の様子や
苦しむ原因に目を向けなかった。その結果、佐々木が死んでしまう。
とうとう迎えた教授選の日。
結果は財前と菊川の日を改めての決選投票となり、
財力に勝る財前側はあらゆる手段を用いて選挙に勝った。
しかし、佐々木の遺族が財前に対して誤診を訴えた。
この医療裁判はセンセーションを巻き起こしたのだが――という展開。
感想
もともとは橋本忍が増村保造監督のつもりで書いた話。
ところが、増村監督が忙しかったのでいわばピンチヒッター。
これが結果的には大正解だったわけで、
この作品のヒットがなければその後の「華麗なる一族」や
「不毛地帯」といった一連の山崎豊子作品を手掛けることはなかったかも。
人間の運と縁とは不思議なもんだ。
後のドラマ版と大きく違うところは、
誤診による佐々木の死が教授選の最中に起きていること。
ドラマは海外出張に出かけている時だった。
現在ではよく知られる大まかな最後までのストーリーは
この時点では第一審までの話しかなかったため、
財前の勝利で裁判は終わり、里見は大学を追われる展開に。
なのでその後を知っていると消化不良かも。
ま、映画の大ヒットと反響の大きさから続編を書く気になったんだろうけど。
その後、テレビドラマ化されるたびに話題になった。
これくらい社会的反響を巻き起こす作品を書きたいものだ。