1985年に「富士山麓殺人事件」、
1989年に「仮装の時代」のタイトルで出版。
もともとは1970年に著者が新鷹会在籍時、
機関紙「大衆文芸」に連載したもの。映像化はまだなし。
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あらすじ
野望に燃える若者・早川吾郎はマスコミの帝王である
五味大造にターゲットを絞る。
まず娘の奈美子に近づき、大造に会うことに成功。
大造を巧みに脅迫し、自分の週刊誌をバックアップさせるが
反撃にあい週刊誌は創刊号でストップしてしまう。
大造を怒らせたのは記事ではなく、トップ写真にあった。
その背後を探るべく旧知の探偵社の男の協力を得るが
男は謎の事故死を遂げる。
死ぬ前に男から紹介されていたルポライターとともに
大造の過去を調べ早川たちがつかんだものとは――という展開。
感想
ピカレスクロマンといった感じの小説。
面白くないこともないが、やはりこういう題材は他の人の方がうまい。
まず早川のキャラクターがイマイチよくわからない。
悪漢というにはどこか違う。
ワルになりきれない男というか。
高木彬光「白昼の死角」の鶴岡と比べればだいぶ違う。
奈美子をとことん利用しようとしたり、
味方につけようというのも感じられない。
そのあたりの中途半端さがあるのでラストも生きてこないような。
社会風刺というかものの見方・考え方の描写はうまいと思うけど。