西村京太郎447「妖異川中島」を読む

2009年初出の作品。

現代の企業の競争を川中島に

なぞらえている異色作。

映像化はまだなし。

 

あらすじ

十津川警部の元部下で今は私立探偵の橋本。

ある日、大学の先輩にあたる越後実業の

社長に呼び出される。

ライバル会社の甲州商事の内情を調べてくれというのだ。

それぞれ上杉謙信と武田信玄を信奉するワンマン社長。

後継ぎを誰にするかも共通の悩みだ。

両社長は川中島の合戦になぞらえて

引き抜き合戦を国会議員立会いのもとに考える。

 

異色な戦いが始まる中、両者のホープが

立て続けに殺害される。

一風変わった状況に十津川と亀井は困惑する。

さらに大企業である近江通商が

両社の買収に動き出し事件は一層混迷に。

果たして殺人事件の黒幕は誰か?

そして両社の運命は?

十津川警部の推理が光る――という話。

 

感想

現代の企業戦争を川中島に見立てて

いろいろと活写した面白い作品。

武田、上杉の歴史書を読んでいるみたいな感じで

歴史好きにはたまらない部分もある。

反面、そういった説明が多いので

ミステリとしてはどうだろうとも思う。

時代小説が書きたくても十津川警部シリーズばかり

依頼されるからストレス解消したかったんかねえ。

うまいこと映像化したら悪くなさそう。

川中島は確かにどっちが勝ったんかようわからんけど

武田側、上杉側の両言い分も書かれていて楽しめる。

歴史へのなぞらえ方がいろいろと興味深い。

ちゃんと塩じゃないけど贈りものもある。

読後感もいいし、意外とイケる作品。

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