1977年発表の海洋冒険小説。
「喜望峰」と同時発売され、
新人作家の二作同時書き下ろしデビューが話題を呼んだ。
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あらすじ
横浜で起きた3件の連続殺人事件。
現場近くに現れた謎の男は、一年前にマラッカ海峡で死んだと思われていた。
その男の名は土岐雷介。マラッカの底に沈んだ百億の財宝の在りかを知っていた。
ベトナム戦争の影で起きた事件と財宝を巡り、
謎の特務機関、アメリカ情報部を巻き込み土岐との死闘が始まる。
友人のルポライター・相崎哲は真相を追うが――。
横浜、東京、シンガポール、マラッカと舞台を変えながら
男と女のハードな戦いは続いていく――という話。
感想
粗削りな内容だがとても面白い。
映画化も検討されたらしいが結局実現しなかった。
土岐が主人公かと思いきや、中盤以降は完全に相崎。
そしてまた、土岐に主人公が移ってく感じなのだが
このあたりは構成的に考えるべきところかも。
でもそうしたことを抜きにして熱量が感じられる作品。
「人間ってやつわな、それぞれ面つきが違うように、
生きる価値の基準も違うんだぜ」と語る土岐の凄み。
この他にも「おっ」と思わせる展開とセリフが魅力。
しかしまあ、新人作家の2冊同時書き下ろしデビューなんて。
しかも全5弾広告でプロモーション。
現在では考えられませんな。昭和は遠くなりにけり。