乱歩賞作家・日下圭介「バラの中の死」を読む

2015年出版の傑作短編集。
「砕けて殺意」「流れ藻」「突然のヒマワリ」「バラの中の死」
「暗い光」「木の上の眼鏡」「木に登る犬」「鶯を呼ぶ少年」の8編を収録。

バラの中の死 (光文社文庫)
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もう抜群にうまい。
乱歩賞受賞作の「蝶たちは今…」はだいぶ前に読んだけど
正直そんなにいいとは思わなかった。

しかしこの短編集は素晴らしい。

1982年に日本推理作家協会賞を受賞した
「木に登る犬」「鶯を呼ぶ少年」はもちろん、
「砕けて殺意」「流れ藻」がうますぎる。

「砕けて殺意」は1986年に「小説推理」に発表された小説。
美容室経営者から借りていた萩焼の茶碗を借りていた女性が
うっかり割ってしまったのを知り合いの浪人生に頼んで泥棒に入ってもらい、
何とかごまかそうとするのだが、その経営者が死体で発見される。
久々に騙される快感を味わえる上質のミステリ。
伏線の張り方と展開の巧妙さに驚かされる。

「流れ藻」は1989年「オール読物」発表の余情豊かな作品。
昔警察官だった男性が身元不明の男を私的に捜査していく話なのだが
ラストシーンが味わい深く、人生の機微を感じさせてくれる。

「木に登る犬」はかつて火曜サスペンス劇場で映像化された作品。
ずいぶん昔に再放送で観たのだが、太川陽介と田中美佐子が出ていたはず。
街を去る田中美佐子を太川陽介が見送るラストシーンが印象的。
そこに岩崎宏美の「家路」が流れるのだから堪えられない。
「聖母たちのララバイ」より「家路」の方がいい曲だったな。

「鶯を呼ぶ少年」も映像化されているらしいのだが未見。
1989年に月曜・女のサスペンス枠らしい。
夏八木勲、山口崇、渡辺典子などが出演みたい。女のサスペンスか?(笑)
こちらも短編賞を同時受賞したのが納得の出来栄え。
いや~いい小説を読むとこんなの書きたいなあと切に思う。
頑張ろ。

追記

「暗い光」も1989年にテレビドラマ化。1時間もの。
出演はかたせ梨乃、倉田てつを、寺田農、川谷拓三など。
なんとなくイメージが湧くな(笑)

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