名作ラブロマンス・春江一也「プラハの春」を久々に読む

1997年出版の作品。
現役外交官の著者が書き上げた国際ラブロマンス。

あらすじ

1967年3月、プラハ。
チェコスロヴァキアは共産主義の抑圧から脱し、自由化への気運を高めつつあった。
そのさなか、外交官・堀江亮介は一人の美しき女性と出会う。
彼女の名はカテリーナ・グレーべ、東ドイツ人であった。
東西最前線の地で出会ってしまった二人……禁断の愛が、始まる――という話。


感想

1968 年、共産圏チェコスロヴァキアに巻き起こった「春」。
「プラハの春」と呼ばれるその自由化運動にチェコの人々は心を躍らせたが 
その春が灰色の結末を迎えたことは今日よく知られたことである。 
この作品は実際にプラハの春に遭遇した春江一也氏が
事実を素材に書き上げた渾身の歴史ラブロマンだ。

したがって場面場面のリアリティは圧倒的。
押し寄せる歴史という悲劇の波の中で愛しあった男と女。
男は西側体制の日本の外交官で、女は東側体制の東ドイツの党員。 
二人が結ばれることはない。結末はわかりきっている。
だが、黒く塗りつぶされた激動の歴史の1ページを、二人の愛が華やかに彩る。
重厚な社会派ドラマでありながら、
誰しもが心から美しいと思う究極のラブストーリーでもある。

現在の日本は、当時のチェコスロヴァキアの情勢とシンクロする要素はほとんどない。
日本人はある程度平和の中に生きているし、表向きは自由を保障されている。
だが、漠然とした将来への様々な不安の中に生きる私たちにとって 
己自身に当時のチェコスロヴァキアの人々の姿を見出す部分は多々ある。
自由のために命を賭して戦った人々の強さと誇り高さに胸を熱くすることだろう。
こういう作品書きたいなあ。

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