警察小説・堂場瞬一「埋れた牙」を読む

2014年出版の警察小説。舞台は吉祥寺。いわゆる「街」ミステリーの一つ。あらすじ捜査一課から地元の武蔵野に転出した刑事・瀧。地元の守護者となるべく日々を過ごす瀧のもとに旧友の長崎から姪が行方不明という相談が持ち込まれる。交番勤務から刑事課に引き上げられたあかねとともに捜査にあたる瀧だが、捜査を進めるうちに10年ごとに似たような失踪事件が起きていることに気付く。長崎の姪は市議会議員の選挙活動を手伝っ
>>続きを読む

時代小説・笹沢左保「木枯し紋次郎(3)六地蔵の影を斬る」を読む

木枯し紋次郎の光文社時代小説文庫第3弾。「六地蔵の影を斬る」「噂の木枯し紋次郎」「木枯しの音に消えた」「雪燈籠に血が燃えた」の計4編を収録。紋次郎のトレードマークの一つである左頬の傷跡と楊枝を加えている由来が語られる「木枯しの音に消えた」が個人的にはベスト5に入る。まだ紋次郎が二十歳前の頃、斬り合って手傷を負い花田源左衛門という浪人の小屋に逃げ込みしばらく厄介になった。左頬の傷跡はその時源左衛門が
>>続きを読む

時代小説・笹沢左保「木枯し紋次郎(2)女人講の闇を裂く」を読む

木枯し紋次郎の光文社時代小説文庫第2弾。「女人講の闇を裂く」「一里塚に風を断つ」「川留めの水は濁った」「大江戸の夜を走れ」「土煙に絵馬が舞う」の計5編を収録。紋次郎が渡世人となった事情が語られるのが「女人講の闇を裂く」と「川留めの水は濁った」。貧しい農家の6番目に生まれた紋次郎。生まれた直後に間引きされかかるが、姉のお光の機転によって命を救われる。そのことを後から知った紋次郎は無口な少年に。(そり
>>続きを読む

時代小説・笹沢左保「木枯し紋次郎(1)赦免花は散った」を読む

光文社時代小説文庫から以前出ていたシリーズもの。記念すべき木枯し紋次郎初登場作「赦免花は散った」から「流れ舟は帰らず」「湯煙に月は砕けた」「童唄を雨に流せ」「水神祭に死を呼んだ」の計5編を収録。最近「時代劇本格ミステリ」というのが流行りつつあるらしいが木枯し紋次郎なんかはその先駆けともいえるのでは。なんせ著者の笹沢左保さんはもともと本格ミステリのお方。時代小説にどんでん返しを持ち込んだ功績はとてつ
>>続きを読む

傑作時代小説・隆慶一郎「一夢庵風流記」を久々に読む

平成元年出版の傑作時代小説。主人公は戦国末期の時代を生き抜いた前田慶次郎。マンガや舞台にもなり前田慶次郎=傾奇者のイメージが付いた。あらすじ時は戦国末期。天下の傾奇者として名をはせた前田慶次郎。剛毅ないくさ人でもあり風流を愛した人でもあった。自由を愛し奔放苛烈に時代を生きた男の生きざまとは――という話。感想久々に読んだがやっぱり面白すぎる。もともと最初読んだ時はドラマの企画書を書く目的だったのだが
>>続きを読む

第16回このミス大賞・優秀賞受賞作「筋読み」を読む

第16回「このミステリーがすごい!」大賞・優秀賞受賞作。王道の警察小説で、タイトルは警察用語「スジ読み」から来ている。あらすじ女性モデルを殺害したと出頭してきた男・山下。現場に会ったDNAが彼のものと一致し、犯人間違いなしと思われたが警視庁捜査一課の飯綱刑事だけが異を唱える。飯綱は捜査を外され、車に轢かれた少年がなぜだか直後に連れ去られるという事件を担当することに。少年の居場所を見つけ出し無事保護
>>続きを読む

名作警察小説・結城昌治「夜の終る時」を読む

第17回日本推理作家協会賞受賞作。1979、1991、2007と3回テレビドラマ化。悪徳警官を描き警察小説のはしりとなった名作。あらすじ裏社会と癒着が指摘されていた徳持刑事。その理由は幼馴染がヤクザの幹部になっていたからだった。ある日、徳持刑事が失踪。翌日に死体となって発見される。疑惑の同僚の死にやりきれない思いの安田達刑事はもやもやを振り切るように捜査に没頭。ついに幹部の関口を見つけ逮捕にこぎつ
>>続きを読む

西村京太郎166「悪女の舞踏会」を読む

1990年刊行の短編集。単行本未収録作品をまとめたもの。1「悪女の舞踏会」は1964年発表の作品。金持ちの後妻に収まっている女。その彼女にいいように弄ばれた2人の男と恋人を奪われた女。ある日、誕生パーティーにその3人が招かれる。それぞれがこのふざけた女を殺したいと思っていたのだが、金持ちの夫が彼女のグラスに入ったシャンペンを飲んで死んでしまう。女に恨みを持った誰かの犯行か、それとも財産目当ての女の
>>続きを読む

ハードボイルド・結城昌治「暗い落日」を久々に読む

1965年出版の長編ハードボイルド。真木シリーズの第1弾にあたる。日本のハードボイルドの嚆矢とも言える作品。1983年に火曜サスペンス劇場で山本陽子・髙橋悦史主演で映像化。あらすじ元刑事で私立探偵の真木。ある日、資産家の磯村から孫娘の捜索を依頼される。劇団の研究生だった乃里子の行方を追う真木の前に、次々と新しい事実が明らかにされ、そして殺人が――という話。感想読み返すたびに面白くなる味のある作品。
>>続きを読む

林真理子「ファニーフェイスの死」を久々に読む

1987年出版の名作。特にラストシーンが心に残る。あらすじ昔なじみのフリーライター・井田が初めて出版した本。驚くほど派手な出版記念パーティーにかけつけた恵子。博多に嫁いでからは東京に来ることは全くなかった。恵子がかつてモデルをしていたことを知る人はほとんどいない。ホテルに帰り本を読んだ恵子は、思わず井田に電話して激怒した。同じモデルクラブに所属していたゆい子のことが――。1960年代、高度成長期の
>>続きを読む

記事作成・ライティングに関するお問い合わせ・ご相談

コピーライター育成オンラインアカデミー

最近の投稿

テーマ別

ページトップに戻る