結城昌治「死んだ夜明けに」を読む

1970年出版の短編集。表題作のほか、「乾いた女」「歪んだ娘」「夜が崩れた」「熱い死角」「殺意の背景」「ヤクザな妹」の計7編を収録。「死んだ夜明けに」はオール読物1967年7月号掲載。ぐれてる頃の仲間で今は三者三様の生き方をしている3人組。疎遠になる者もいれば腐れ縁あり、まじめになる者もいれば変わらない者ありといった具合。ところが、仲間の一人・佐度井が絞殺死体で発見される。事情を知りたがる石津と特
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取調室シリーズ4・笹沢左保「水木警部補の敗北」を読む

1998年出版の取調室シリーズ第4弾。1999年に火曜サスペンス劇場でテレビドラマ化。いかりや長介VS浅野温子の組み合わせが話題を呼んだ。あらすじ佐賀県多久市の山中で発見された男性の絞殺死体。被害者は横浜在住の画家・井坂俊介。しかし、井坂は画家とは名ばかりで実情は妻・レイのヒモ同然の存在だった。死亡時刻の2日前まで井坂夫婦は写生旅行をしていたため、レイに嫌疑がかかるが、死亡時刻には鉄壁のアリバイが
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異色ミステリ・西村京太郎53「原子力船むつ消失事件」を読む

1981年出版のノンシリーズ。タイトル通り原子力船が姿を消すという、スケールの大きなサスペンス。あらすじ原子力船むつ開発事業団の秘書室長・藤木。反対派が押し寄せる佐世保の地で、友人の一等航海士・浅井が乗り込む原子力船むつの出港を見送りホッとする。ところが、順調に航海中だったはずの「むつ」が新潟沖からの無線を最後に消息を絶ってしまう。やがて、尖閣湾沖で大量の魚の死骸が発見される。ひょっとすると海が放
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伝説のデビュー作・内田康夫「死者の木霊」を読む

1980年のデビュー作。自費出版だった。いわゆる「信濃のコロンボ」シリーズ第1弾。1982年に土曜ワイド劇場、2001年にテレ東、2013年にTBSでテレビドラマ化されている。あらすじ信州飯田のダムで発見されたバラバラ死体。事件は親族の借金にまつわるトラブルによるものとして甥夫婦を全国指名手配するがその二人が心中した状態で発見。遺体から睡眠薬が検出されたものの、それ以外は不自然な点はなく捜査は終了
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西村京太郎71「行先のない切符」を読む

1983年出版の短編集。表題作のほか、「夜の殺人者」「カードの城」「刑事」「手を拍く猿」「幻想の夏」「南神威島」「鳩」の計8編を収録。「夜の殺人者」は十津川警部&亀井刑事コンビ。女にひっかけられ罠に落ちた男を助ける話。「カードの城」は田口刑事。田島じゃないのね。タイトルが味わい深い作品で、初期の雰囲気がよく出てる。トルコで働く女性が殺され、容疑者らしき男が浮上。しかし、その男は周囲から先生と呼ばれ
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西村京太郎56「死者に捧げる殺人」を読む

1982年出版の短編集。表題作のほか、「海辺の悲劇」「三億円の悪夢」「知らない町で」「危険な伴侶」「超速球150キロの殺人」「白いスキャンダル」「戦慄のライフル」「白い罠」の計10編を収録。「海辺の悲劇」は独特な映画の香り漂う作品。「おもいでの夏」的な話をミステリーにしたみたいな。「三億円の悪夢」は巻き込まれ型サスペンス。ま、うまい話には気をつけろということ。「知らない町で」は前にも読んだような。
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近未来小説・西村京太郎4「太陽と砂」を読む

1967年出版の「21世紀の日本」応募作。総理府が当時募集したもので一等に入選した作品。あらすじエジプトで進められている砂漠改良プロジェクト。技師として参加している沢木は、太陽熱を利用した発電所計画に地球の未来を期待。ところが、砂漠で事故に遭い九死に一生を得る。その日から、沢木の悩みが始まった。自分が考えた未来、合理主義的な考え方は正しいのか。一方、伝統芸能でありながら観光客向けにしか人気のない能
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西村京太郎82「展望車殺人事件」を読む

1984年出版の短編集。表題作のほか、「友よ、松江で」「特急『富士』殺人事件」「死を運ぶ特急『谷川5号』」「復讐のスイッチ・バック」の計5編を収録。「友よ、松江で」は一人称の短編。誰かはわからないが十津川警部の部下だということだけわかる。友人から「助けてくれ」という知らせを受け取った私は、彼との思い出を振り返りながら助けるために向かうのだが――。友情・思い出・はかない現実。展開は読めてしまうが、一
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傑作北海道ウェスタン・佐々木譲「北辰群盗録」を読む

1996年出版の北海道ウェスタンシリーズの一冊。幕末・明治初頭の北海道を舞台にした時代アクションもの。あらすじ共和国建設のために立ち上がったもののついに五稜郭を開場し降伏した榎本軍。戦いから早や5年が経ち、北海道各地では開拓が進んでいた。そこに突如盗賊団が現れ、各地を襲い物資を奪う。彼らは共和国騎兵隊を名乗っていた。盗賊団のリーダーは兵頭俊作。五稜郭で最後まで戦った榎本軍の一人だった。その討伐隊に
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西村京太郎274「東京・松島殺人ルート」を読む

1998年出版の作品。久々に海の男・十津川警部の姿と亀井刑事の怒りが炸裂する内容。あらすじ東京で初老の男女が相次いで謎の死を遂げた。男性は交通事故死、女性は溺死。目撃者の情報によれば二人とも「……島」という言葉を残してどこかに行こうとしていたようだ。身元が割れない中、謎の怪文書が連続して届く。手がかりを求めて十津川警部と亀井刑事は秋田から松島へ。背後には東北の開発に群がる利権集団が。一人、勇気を出
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