1971年から「小説宝石」に連載された作品。
1972年にテレビドラマ化された。
出演は北大路欣也、大原麗子、田中邦衛など。
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岡っ引きというと銭形平次を連想する人が多いだろうが
だいたい岡っ引きなんてのは世間の嫌われ者だったのが歴史の真実。
本作に登場する地獄の辰もめちゃくちゃ嫌われ者。
なんせ街で乱闘があった時、見物人は相手を応援するぐらいなのだ。
しかし辰はめちゃくちゃ強く相手をぶちのめしてしまう。
その辰に従う子分が役者のような美男子の留三郎、そして銀太。
辰の上司というか使っているのは腕利き同心・磯貝源之進である。
まあこの辰と源之進の間のドラマがえげつない。
5年前、辰はいつかは夫婦にと思っていたお玉が手籠めにされているのを発見。
もっとも見せたくないところを見せてしまったお玉は
辰に「殺して……」と懇願する。
逆上している辰はお玉の首を絞めてしまう。
お玉を殺したのは辰であることを見抜いた源之進は
やくざ上がりの辰を自分の部下にしておけば何かと役立つということで岡っ引きにする。
しかし辰にとっては岡っ引きになる目的は
お玉を手籠めにしたやつを探し出してぶち殺すことである。
時々、指令に逆らう辰に源之進は事件のことを持ち出す。
根性腐っとる男やで、ほんまに。
というわけで絆もなければ友情もない。
あるとすれば憎しみだけってまあなんとアナーキーな設定。
最終的に実は……となるのだが、辰にとっては
さらなる地獄の幕開けになるというやるせなさ抜群の展開。
テレビドラマになった時はさすがにひどいだろということで
行方不明になったお玉を辰が探し求めるという風に変更。
まあテレビだもの。東映城のプリンスだもの。
昔昼間に再放送観たことあんだけどねえ。
機会あったらもう一度観てみたい。でもたぶん小説の方がええかな。