加藤泰監督・松竹映画「男の顔は履歴書」を観る

1966年公開の松竹映画。
主演は安藤昇、監督は加藤泰。
出演は中谷一郎、中原早苗、伊丹十三など。

あらすじ

ひなびた医院を経営する雨宮(安藤昇)のもとに
運び込まれた交通事故にあった男。

その男は崔(中谷一郎)。柴田という日本名を持ち、
雨宮にとって沖縄でともに戦った戦友だった。

出血がひどい崔の姿を見て、雨宮は手術をためらう。
他の病院に回している暇はない。
しかし、手術したとしても助かる保証はない。

雨宮は手術の準備をしながら
崔との因縁めいた過去を振り返る――という話。

感想

面白い。いい映画。
現在と過去がサンドイッチ構成で進むのだが、
最初医師が安藤昇さんとパッと気づかない。

芦田伸介ですかみたいな雰囲気で登場してくる。
ま、声でわかるのだが。

人間関係のアヤのつけ方が素晴らしい。
雨宮と崔の関係、戦後立場が変わりながらも
男の友情を守りたい人間性、しがらみ。

秩序も何もあったもんじゃない時代に、
愛人の看護師マキ(中原早苗)と
無関心に過ごす雨宮と理想に燃える弟、俊次(伊丹十三)の対比。

俊次は言う。
「一億総ざんげってのは、一億総ふぬけになるってことかよ!」

このあたりのシーンがまあ素晴らしい。
今観た方が意味あるんじゃないかね。

雨宮の「ついてくのは日本人は得意だからな。そして裏切りも」とか。
戦争に行った雨宮と行っていない俊次との対比。

そしていろいろあって殴り込みと意外っちゃ意外なラストシーン。
下手な仁侠映画や反戦映画よりよっぽど素晴らしい。
温故知新というか昔の作品から学ぶものは多いですな。

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