衝撃の問題作・西村寿行「鉛の法廷」を読む

1984年刊行のポリティカルアクション。「闇の法廷」に続く法廷シリーズ第2弾。その後の日本を暗示しているような話に驚く。あらすじ保守政党が分裂し、政権維持のために第三位の議席を持つ民宗党と連立内閣を打ち立てた。民宗党のバックについているのは宣撫教団。しかし教団は法曹界はじめ社会の各層に信者を潜入させ、国盗りを画策していた。しかも、反対する勢力を人知れず処分する裏部隊まで組織している状態。数の力だけ
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信濃のコロンボシリーズ・内田康夫「追分殺人事件」を読む

1988年出版の長編ミステリ。信濃のコロンボこと竹村岩男警部シリーズの一冊。2000、2004、2017、2020年と4回テレビドラマ化。あらすじ信濃追分で特徴のある人形や小物を売る土産店経営者の丸岡一枝。ある冬の朝、新聞配達員が扉を叩く音が聞こえた。おかしいと思って聞くと、家の前で人が死んでいるというのだ。通報を聞いて駆けつけたのは信濃のコロンボの異名を取る竹村警部。竹村は一枝が飼っている犬・コ
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清水一行「女教師」を読む

1977年出版の長編ミステリ。同年に田中登監督、永島暎子主演で映画化。古尾谷雅人のデビュー作でもある。あらすじ舞台は東京近郊にある中学校。ある日、若い音楽教師・田路節子が校内で強姦された。犯人と思われるのは校内の不良グループで、その中心にいる江川が主犯と思われた。しかし、節子から相談を受けた校長・神野、教頭・安倍、江川の担任・瀬戸山は事件をもみ消そうとする。ただ一人、生活指導主任・影山は抵抗するが
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内田康夫「北国街道殺人事件」を読む

1987年出版の作品。信濃のコロンボこと竹村警部シリーズ第4弾。もっとも周囲からコロンボと呼ばれてるかといえばそうでもない。下の名前が岩男なので「ガンさん」と呼ばれていたりする。1998年、2002年、2016年と3回テレビドラマ化。ちなみに「北国」は「ほっこく」と読むそうな。あらすじ静かな湖畔の森の陰からというわけではないが野尻湖の学術調査現場から歴史的では全くない新しい人骨が発見された。頭蓋骨
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土屋隆夫短編集「死者は訴えない」を読む

1991年出版の自選傑作短編集。表題作のほか、「判事よ自らを裁け」「奇妙な再会」「縄の証言」「愛する」「美の犯罪」の計6編を収録。あらすじこの中でドラマ化されてると思われるのが「判事よ自らを裁け」「奇妙な再会」「縄の証言」。「判事よ自らを裁け」1960年の作品。タイトルからだいたい想像が付くかと思うが、死刑の判決を受けて病死した被告にアリバイがあったことが判明。裁判官はそのことを知りながら、定年ま
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清水一行「同族企業」を読む

1974年出版の長編ミステリ。あらすじ新婚旅行で小豆島にやってきた遠藤悟郎。ところが、新妻・恵梨子が突然の失踪。なぜ恵梨子は失踪したのか。悟郎の勤務する植田発動機はワンマン社長とその息子、娘婿の常務を始めいびつな人間関係による権力抗争があった。恵梨子もその争いに巻き込まれたのか。やがて殺人事件が起こり、真相を追い求める悟郎は――という話。感想モデルとなったのはヤマハ発動機と言われている。なんやろね
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船戸与一「銃撃の宴」を読む

1984年出版の短編集。「白い蒸気の夜」「居留区の秋」「帰郷者」「灰色の猟犬」「老いぼれ殺し」「まだらの疾風」「鬼百合の宿」の計7編を収録。いずれも外国を舞台にした男の物語。この中なら「白い蒸気の夜」と「老いぼれ殺し」がいいなあ。「白い蒸気の夜」殺し屋の床波譲二はFBIから最重要指名手配を受けている男。仕事をする前に気まぐれ的に売春女を助ける。そして11年ぶりに偶然にある男の消息を知った。床波はか
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読売新聞社会部「会社がなぜ消滅したか」を読む

2001年出版の新潮文庫版。かつて四大証券と呼ばれた山一証券崩壊の話。1997年11月、山一証券が自主廃業。そこに至るまでの過程が克明に記されている。この時、山一証券の前にいたんだよな、オレ。なぜいたかということについては…まあそのうち作品で書くこともあるかもしれんが。要はこの時というか、この年の5月に小川証券という山一グループの証券会社が山一に見放されて自主廃業することになった。山一の名は覚えて
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名作本格ミステリ・水野泰治「武蔵野殺人√4の密室」を読む

1987年出版の本格ミステリ。あらすじ数百億円の財産と大企業徳永興産の実験を持つ女主人・徳永志保。ところが、武蔵野にある豪邸“土筆庵”で何者かに殺害される。しかも、志保が殺されたのは密室状態の部屋。容疑者は一癖も二癖もある相続人全員。遺産と会社の実権を狙いそれぞれの思惑が渦巻く中、さらなる密室殺人が巻き起こる。そして捜査に当たっていた女刑事までもが土筆庵で密室状態で殺害された。いったい犯人は誰なの
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伝説の名作・夏樹静子「天使が消えていく」を久々に読む

1970年初版の推理小説。第15回江戸川乱歩賞最終候補作。受賞した森村誠一「高層の死角」と最後まで争い惜しくも受賞は逃したが、埋もれさせるには忍びないということで異例の刊行となった伝説の名作。1973、1978、1982、2010年と4回テレビドラマ化されている。あらすじ「婦人文化」記者の砂見亜紀子。彼女は福岡県のさまざまな分野で活躍する女性の取材を続けていた。ある日、小児心臓病を専門とする女医の
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