西村京太郎79「寝台特急『北陸』殺人事件」を読む

1984年トラベルミステリー全盛期の作品。
1985年に土曜ワイド劇場でテレビドラマ化。
三橋十津川・愛川亀井コンビの6作目。

あらすじ

古都・金沢で失踪した親友めぐみの行方を追って
上野発21時50分のブルートレインに乗り込んだOLの理沙。

しかし、何者かに後頭部を一撃され気絶。
気がつくと理沙は男の死体と横たわっていた。
しかも、それは旧友の井崎で理沙に嫌疑が降りかかる。

疑われながらも釈放された理沙は、
めぐみと同じ大学時代の親友・美也子とともに金沢へ急ぎめぐみの行方を捜す。

一方、東京では売れないイラストレーターの毒殺事件が。
被害者とめぐみにつながりがあったことから十津川警部達が捜査に乗り出す。

大学時代の理沙達と井崎の関係など次々と事件の構図が明らかになる中、
十津川警部たちは最大の謎である井崎殺しに頭を悩ませる。

理沙が頭を殴られたのは9号車の通路、
理沙と井崎の死体があったのは1号車の寝台だからだ。

なぜわざわざ気絶した理沙を1号車に運ぶ必要があったのか?

十津川達はすべての謎を解くため寝台列車「北陸」に乗り込む。
そこには驚くべきからくりがあった。

そして、浮かび上がった真犯人とは――という話。


感想

トラベルミステリー全盛期の作品らしくいろいろと凝っている。
今では廃止された「北陸」だが
次々とブルートレインが姿を消す中、2010年までは生き残っていた。

立派なもんだ。

今じゃ北陸新幹線が走ってるんだから時の流れというのはおそろしい。

比較的映像化が早かったのは
何と言っても列車のトリックが映像的に映え、
なおかつわかりやすくアッと言わせるものだったからだろう。

加えて人間心理の二面性、女同士の友情と憎しみなど
ただ単に事件が過ぎていくのではない点がいい。

正直犯人を当てるのはそう難しいわけではないが、
トラベルミステリーらしさ全開の作品。

映像化の際、出ていたのは白都真理、浅野ゆう子など。
なんとなくイメージが沸くなあ(笑)

と思って観てみたら突っ込みどころ満載。
冒頭、友達の結婚式に出席した森本レオが感化され
嫁さん探したいからと休暇をキンキンに申し入れる。

ヒマか。

兼六園でめぐみと会いわざとらしく池に落ちたスケッチを拾う。
そこからいろいろ事件に関わっていく。

疑われるのは浅野ゆう子。
この頃犯人役とか結構多かったからなあ。

天知茂の弟子、宮口二朗さんが石川県警の刑事役。
山村紅葉、細い。なかなかのセリフ棒読み(笑)

殺される井崎は清水健太郎。まあ殺されるのも無理はない。
元をただせばすべてこいつが悪い。

白都真理と浅野ゆう子の入浴シーンなんて貴重かも。
そしてキンキンと2人はなぜか仲良く浴衣姿で飯を食う。
どこの世界に刑事と容疑者がくつろいで飯を食う話があんのよ。

酔っぱらう浅野ゆう子がやたらと可愛い。
そしてなぜだかレオはそこにはいない(笑)

その他、突っ込みどころ満載の展開が続いていく。
ま、2時間サスペンスらしいといえばらしい……いや、そうでもないか。

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