第14回このミス大賞・一色さゆり「神の値段」を読む

2015年第14回「このミステリーがすごい!」大賞受賞作。
新しいタイプのアート・ミステリーとして評価を受けた作品。

あらすじ

佐和子は画廊経営者・唯子のアシスタント。
安い給料でこき使われているが、家がもともと芸術肌なのもあり
唯子に何となく評価されてることもあり働いている。

唯子の画廊のウリは全く姿を現さない謎の現代芸術家、川田無名の作品。
ところがある日、唯子が何者かに殺され容疑者として無名が追われることに。

無名の居所どころか生きてるのか死んでるのかもわからない。
困った佐和子だが、別居していた唯子の夫・佐伯の協力も得て
6億円を超えるとされる無名の傑作を守ろうとするのだが――という話。

感想

面白い。美術ミステリーってのは数も少ないしあまり読んでないけど。
美術そのものの話もさることながら、市場の裏表を書いているのが大きい。

こういう得意分野を持ってる人は強いですな。
あと一人称で書いてるのもわかりやすくていい。
オークションの場面なんかは臨場感抜群。

知らんもんやから無名って実在の人物と思って読んでた。
モデルがちゃんとおるのね。でもそれぐらいよかった。

反面、ミステリとしてはどんなもんだろという気もする。
犯人こいつしかおらんだろって感じだし。

ラストの空港のとこなんかは桐野夏生「顔に降りかかる雨」を連想させる。

ある意味オーソドックスなハードボイルド的流れなんだけど
扱う題材、見せ方でこんなに印象が変わり新機軸を出せる。
参考になった一冊。

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