1982年に火曜サスペンス劇場で放送された作品。
原作は松本清張『死の枝』のうちの一つ、『交通事故死亡1名』。
主演は林隆三。あべ静江、桑山正一、山田吾一、戸浦六宏などが出演。
あらすじ
タクシー運転手の小山田(林隆三)は
妻・恵子(あべ静江)、一人息子と仲良く暮らしていた。
ある夜、客・栗野(重田尚彦)を乗せて走っていると、
前の車が急停車、追突を避けようとした小山田は
立っていた男・吉川を運悪く撥ねてしまう。
業務上過失致死の罪で三年の実刑となった小山田。
ところが、面会に来た会社の事故係・亀村(桑山正一)が妙なことを言う。
「お前さんは嵌められたのかもしれんぞ」
その言葉を奇異に感じた小山田は出所後、亀村に会いに行く。
亀村は会社を辞め、今では喫茶店のマスターになっていた。
事故の裏に何が隠されているのか。
小山田は真相を追求しようとするが、亀村が謎の転落死を遂げる――という話。
感想
一言でいえばザ・ハードボイルド。
原作では亀村が事故に疑問を持ち、追求していく話だが
ドラマは小山田が亀村の言葉をきっかけに真相解明に乗り出していく。
ま、その方がドラマになるんだけどね。
なもんで、観る側からすりゃその方がスッキリするんだが
気に入らんかったのか何なのか、映像化は今のところこの一度だけ。
林隆三さんはこういう役は抜群に似合うねえ。
最初の連ドラ『人間の証明』の棟居刑事とか。
あべ静江さんと並べば、もうそこは『ザ・ハングマン』の世界。
ブラックとベニーですな。どっちも死んじゃうけど。
しいて言えば、ちょいと淡々とし過ぎかな。
いいドラマなんだけど、なんかもったいない気がせんでもない。
これなんか、今やってもおかしくないと思うけどねえ。