2002年火曜サスペンス劇場枠で放送された2時間ドラマ。
原作は松本清張の同名ミステリ。
脚本は荒井晴彦、監督は三村晴彦。両大御所の熟練の腕が冴えている。
主演は毎度おなじみ古谷一行。十朱幸代、斉藤慶子、鶴見慎吾などが出演。
1972,1975,1982,本作、2012と5回テレビドラマ化。
あらすじ
閑静な住宅地でトラックが民家の門に突っ込んだ事件が発生。
被害を受けたのは将来社長が約束された身の山西(鶴見慎吾)と
その妻・美保(斉藤慶子)が暮らす家。
トラックの運転会社の担当保険会社社員・高田(金田明夫)は
ややこしい家だったらどうしようと気重なまま山西家を訪問。
ところが、事故の時家にいた美保からは優しい言葉が。
すんなり事が運んでホッと一息の高田。
しかし、事故を起こした運転手・宮島(松田洋治)が
6日後に新潟で再び事故を起こして死亡する。
翌日、事故現場から20キロほど離れた群馬県の林道で
東京で探偵事務所を経営する田中久子(十朱幸代)が絞殺死体で見つかった。
群馬県警の富樫刑事(平泉成)は
同じ事務所で探偵をしている夫・幸雄(古谷一行)から話を聞く――という展開。
感想
これはやっぱりよくできてるなあと。
人間関係のアヤから登場人物のバックボーンから作りが素晴らしい。
なんか松本清張ドラマに出る古谷一行で一番共感したというか(笑)
だいたい、いつもお前なんやねんと言いたい気持ちになってるから。
ネタバレでいえば要は幸雄が2人を殺してんだけど。
その動機だったり、設定や見せ方が
例えば1982年版と比べれば随分違う。
同じ原作でもやり方一つでこれだけ変わる。
だからドラマは面白い。
回想の中に回想を入れるのは難しいけど
そんなことを感じさせないのはさすが熟練の腕。
最後にもひとつ仕掛けがあるのもいいですわな。
原作では久子は所員なんだけど、夫婦にしてしかも久子の方が所長。
この設定がいろいろ効いてくる。人間の業というかなんというか。
脚本と監督、役者およびスタッフが揃えばいいものはできるのよね。
昔だろうが今だろうがそんなことは微々たる問題で。
いいドラマを見ると気分がいいねえ。