独立プロ映画・山本薩夫監督「暴力の街」を久々に観る

1950年公開の独立プロ映画。
いわゆる本庄事件をモデルに、現地ロケを敢行し
セミ・ドキュメンタリータッチで再現した作品。
各社スタッフ、俳優が企業の枠を超えて製作に協力し、圧力に屈せず完成させた。
この映画の成功によって、独立プロ映画が大きく飛躍していくことになる。
監督は山本薩夫、原作は朝日新聞浦和支局の「ペン偽らず」。

あらすじ

ヤミ織物の本場と言われる東条町。
なぜだか摘発が行われず、一見穏やかに見える平和な町。
ところがある日、駅前の巡査が呼び止めた自転車から闇ルートが発覚。

この話を聞きつけた大東新聞記者・北(原保美)は反対を押し切り報道。
しかし、町会副議長で警察後援会長を兼ねる町のボス・大西(三島雅夫)の怒りを買い、
ヤミ織物の横流しと警察および検察庁の追求は不可能に思われた。

だが、支局長の佐川(志村喬)は町で巻き起こる正常化運動の発展を知り、
川崎記者(池部良)を現地に派遣。

川崎の身辺はたちまち暴力団の嫌がらせに合うが、警察や検察は全く動かない。
青年たちが中心となり、次第に反ボス的な機運が高まる中、大西側の謀略も熾烈を極める。

果たして町政の刷新はかなうのだろうか――という話。


感想

実在の事件を描いた映画の成功例として名前の挙がる作品。
まあ時代といってしまえばそれまでだが、マスコミのあり方などを始め
あらためて観るとやっぱり今日でもいろんな示唆に富んでいる映画。

志村喬や池部良もさることながら、神田隆、宇野重吉、船越英二、
殿山泰司、根上淳、三条美紀、岸旗江、多々良純、藤原鎌足、大坂志郎、花沢徳衛etc…

日本映画およびテレビドラマを支えた人たちのエネルギーがここにある。
当時はまだ占領下で、民主化というものの意識が良くも悪くも高かった時期と言える。
映画公開後にレッドパージが始まったことを思えば、いいタイミングだったのかもしれない。

しかし、国難ということで言えば時代は全然違うがまさに今がそう。
戦時中的体制を整えて臨まなければならないのに、まあ危機感の無さが凄い。
緊急事態宣言が出ているのに、国会議員が風俗行くかね。
先人たちはお空の上から今の日本をどんな風に見てるのだろうか。

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