1954年公開の日本映画。
監督は巨匠・溝口健二、原作は近松門左衛門。
主演は長谷川一夫と香川京子、南田洋子、進藤英太郎などが出演。
Auto Amazon Links: プロダクトが見つかりません。
あらすじ
舞台は17世紀後半の京都。
大経師の以春(進藤英太郎)の妻であるおさん(香川京子)。
彼女はある日、享楽的な兄(田中春男)から
「金貸してえな、ええ暮らししてるんやろ、なあ」とは別に
言われてはおらんがとにかく金をせびられることに。
悩むおさんに救いの手を出したのが手代の茂兵衛(長谷川一夫)。
横山やすしに鼻にかかった声でものまねされていたお方である。
ところが、この頃からひねくれた役である小沢栄太郎が
その現場を見つけてしまったもんだから大騒ぎに。
しかし、茂兵衛に思いを寄せる奉公人・お玉(南田洋子)が
彼をかばい、どうにかこうにか収まりを見せる。
それもこれも金に細かい以春のせいなのだが。
おさんはお玉から以春が毎晩寝室に来る話を聞いて、
お玉と寝室を取り換え以春を懲らしめようとするのだがこれが大誤算。
以春の勘違いから茂兵衛とおさんは不義密通の疑いをかけられてしまう。
不義密通は死罪の時代。二人は逃避行の旅に出るのだが――という話。
感想
人間関係のアヤのつけ方が丁寧で素晴らしい。
大きな事件を起こさなくてもダイナミックなものは描けるのだ。
なんちゅうても名場面は琵琶湖に小舟を漕ぎ出してからの話。
茂兵衛が死ぬ前だからと恋心を告白するのだが、
おさんは今の一言で死ねんようになったと心情を吐露する。
ここのやりとりは上手いの一言。
またそこまでの引っ張り方が素晴らしい。
寝床のすり替えが不義密通を疑われる悲劇を生むわけだが、
悲恋物語として最高峰に位置付けられてもおかしくない作品。