テレビ時代劇「影同心」を久々に観る

1975年4月から半年間TBS系列にて放送。全28話。
製作のきっかけはいろんなところで語られているが、
MBSとABCのテレビ放送における東京キー局がチェンジしたことによるもの。

あらすじと感想

主要メンバーは次の通り。

更科右近・・・山口崇
高木勘平・・・渡瀬恒彦
柳田茂左衛門・・・金子信雄
お佐知・・・范文雀
柳田園江・・・丹阿弥谷津子
鳥居甲斐守・・・田村高廣
小田頼母・・・勝部演之
おとら・・・菅井きん
源太・・・林大興

まあとにかくメンバーが濃い。
南町奉行・鳥居甲斐守から裏の指示を受けた昼行灯同心、
右近・勘平・茂左衛門の三人衆が法の手が届かぬ悪党を
ぶち殺して被害者の恨みを晴らしていくというのが大筋。

主要メンバーそれぞれのキャラ紹介の第1話は
ゲストが成田三樹夫さん、内田朝雄さんと豪華な悪役。
辻斬りを繰り返す成田さんとそのおぜん立てをする内田さん。似合う。
初回からテンションの高い展開。

第2話はなかなか凝った作り。
阿片の元締め相模屋の佐藤慶さんの知的な悪役が光りますな。
小野川公三郎さんと谷口香さんが佐藤さんの家族。
一人、悪になり切れない家族の工藤堅太郎さん。
影同心と相模屋家族の知恵比べが見もの。

第3話は金を貸しては証文を書き換え、
暴利を貪る鐘撞きの元締め・菅貫太郎さんに影同心の怒り爆発。

第4話はお佐知とも因縁のある悪徳与力・岸田森さんが登場。

第5話は火盗改め筆頭与力・今井健二さんと
その配下・河原崎次郎さんの暴虐非道ぶりがインパクト大。

第6話は右近が手入れを受けた岡場所に居合わせ謹慎に。
女郎をたらいまわしにして稼ぎまくる悪を討つ影同心の活躍。
命を落とす女郎が池玲子さん。いま何してはんねやろね。

第7話は仇討やる気なしのへたれ侍に仕えた中間の悲劇。

第8話は囚人解き放ちにまつわる展開。
冤罪の囚人・高橋長英さんの妹・宇津宮雅代さんと
勘平の悲恋物語が炸裂する。

第9話はあぶな絵、美人画と春画の間に位置する絵が題材。
渡辺やよいさんはもっと売れてもよかったのでは。キレイだし。

第10話は油の値段を釣り上げる商人やっちまえ大作戦。

第11話は悪知恵の働く錠前破りを退治するお話。
紀比呂子さんは意外に結構汚れ役が多いよね。

第12話は子堕し屋の犠牲になる恋人の無念を晴らす勘平話。
お嫁さんにしたい女優ナンバーワンと呼ばれた市毛良枝さん登場。

第13話は表向き評判はいいが裏では
地位を悪用しまくっている町名主に影同心が裁きを下す話。

第14話はテンションの高いエピソードの多い
本作の中でも抜群のインパクトを誇る作品。
奥女中を次々と手籠めにする側用人、
その妹をいつしか愛してしまう勘平。
この設定がいいんだよな。
側用人は室田日出男さん、妹は水原麻記さん。
ラストシーンは必見。

第15話は野際陽子さんと犬塚弘さんがゲスト。
野際さんはこの年元旦に娘・樹里さんを出産。
右近VSお佐知の葛藤がドラマを盛り上げる。

第16話は正義感の熱い見習与力の悲劇。
長谷川明男さん、有吉ひとみさん、嵯峨善兵さん、
高城淳一さんと層の厚いゲスト陣が魅力的。

第17話は遠藤太津朗さんと緑魔子さんの
長回しシーンが見せ場でさすがの一言。

第18話は深作欣二監督による影同心最大のピンチ話。
奉行所に着任した筆頭与力に甲府勤番への
左遷をちらつかされ、青息吐息の影同心。
ゲストはまたまた室田さん、川谷拓三さん、松本留美さん。
これもひと際テンションの高い名作。

第19話は嵯峨美智子さん、橋爪功さんの悪役が堪能できる作品。
一方、根岸一正さんが珍しく善人を演じている貴重な回と言える。

第20話は竹下景子さん登場。
イカれた名門家に奉公したばかりに
命を落とす夫に続いて狙われてしまう。

第21話はこれまた見習同心の悲劇。
志垣太郎さんは「あかんたれ」の前になるのかな。
これも展開のさせ方が結構好き。

第22話は世の不条理に押しつぶされていく女の悲劇。
こういうの上村香子さんは似合うなあ。

第23話はバカ親が同心株を買い、
同心になったどら息子のせいで茂左衛門大ピンチ話。
石橋蓮司さんは何演っても上手い。
放送当時、時効寸前だった三億円事件を織り交ぜたり、
ノンクレジットながら若山富三郎さんがチョイ出たり、
こういうところも東映らしさ全開って感じ。

第24話は冒頭から世直し集団と称する浪人に
勘平がボコボコにされる展開。
当然、おさまりが付かないのだが
調べるうちにその裏にあるものに気づいて――という話。

第25話はまたまた勘平悲恋話。
事件の展開に一工夫あって、これも面白い。
山本圭さん、亀井光代さん、天津敏さん、
福田豊土さん、北村英三さんと揃っている。

第26話は無宿者であるがゆえの悲劇。
真面目な大工が金を拾っても届けられないことから、
頼まれた親方が金を届けず役人とつるんで証拠を消す。

第27話はかつての見合い相手と再会した右近が、
窮地に落ちてる彼女の為に奔走するもボロボロに。
復讐の鬼と化していく右近の姿は必見。
茅島成美さんは時代劇合うんだよなあ。
『新五捕物帳』でもいいエピソードあったし。

最終話は懐柔しようとする普請奉行VS影同心。
主題歌「風の女」を歌う朝月愛さんがチョイ登場し、
名前を聞かれて「朝月愛です」と答えたりする遊び心が最高。
はたまた次回作『影同心Ⅱ』のメンバーがラストシーンに登場したり。

クールな右近、直情型の勘平、
権謀術数に長けた茂左衛門、けだるいお佐知。
魅惑のカルテットのアンサンブルは最高ですな。
段取りじみていないところがまたいい。

他にも金子夫妻の共演だったり、
ブルース・リーもどきのヌンチャク使い・源太や
各話の豪華かつ層の厚さ全開のゲスト陣の存在、
やるせなさと憤りの主題歌「風の女」。

昔、大学生の頃に観た時よりはるかに面白い。
ピュアだったのね、たぶん(笑)
不条理を経験してくるとものすごく共感できる。
一番感情移入するのは、勘平かなあやっぱり。
こういう作品はもう二度とできんやろねえ。

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