松本清張映画「わるいやつら」を久々に観る

1980年公開の松竹映画。
タイトルの通り出てくる人間「わるいやつ」ばかりの異色作。

あらすじ

二代目院長の片岡孝夫。
女にもてまくるが医者としての熱意はまるでない。

彼を巡って争う5人の女たち。
家具商の妻・藤真利子、やりての料亭女将・梶芽衣子、
父の愛人だった婦長・宮下順子、離婚寸前の妻・神崎愛、
売り出し中のファッションデザイナー・松坂慶子。

そろいもそろった美女軍団。
しかも、一筋縄ではいかない女たちばかり。

そんな彼女たちを巻き込んで事件は起きていく。

藤真利子の夫は死ぬわ、
宮下順子は離れたくないから平気で人を殺すわ、
肉欲丸出し大作戦が展開されていくが
二代目院長がホントに好きなのは松坂慶子ただ一人。

ところが、そんな彼女は寝たところでそっけない。
焦る片岡孝夫は気を引くために多額の金を用意するが――。


感想

まあしかし、何回観てもロクな人間が出てこない。
金と欲に飢えてる人たちばかりだがある意味痛快。

最後には身の破滅が待ち受けているわけだが、
その引き金となった連中にも罰はやってくるわけで
ラストは皮肉に満ち溢れている。

登場人物が多いがややこしさは微塵も感じさせず
うまいこと人間関係を整理して見せているあたりは
野村芳太郎監督の手腕が冴えわたっている。

原作は昭和36年に発表。
主な舞台は銀座だったが、映画では六本木。
まあ時代設定を昭和55年にしてるからそうなりますわな。

片岡孝夫さんがはまり役。似合い過ぎ。
和服姿の梶芽衣子さんは最高。
宮下順子さんもこういう役は抜群。

ちょっとしか出ないけど、緒形拳さんはさすがのインパクト。
なんでむち打ちの首まくやつしてるかはよくわからんが。
セリフはないけど小林稔侍さんも出ている。

藤田まことさんの税理士も印象深い。

松坂慶子さんのキャラクターは原作とは違い、
時代に合った独身で結婚に否定的な女性に。
その方がラストも生きてくるし、よかったのでは。

ま、このラストも原作とはある意味180度違うのだが。
どちらがいいかは好みの問題。

テレビドラマでは4回の映像化がある。
米倉涼子がやった連ドラは、看護師・寺島豊美が主人公。

最初にやったのは火曜サスペンス劇場。
1985年のことで、主演は古谷一行。
女性陣は名取裕子、ちあきなおみ、泉じゅん、加藤治子。

名取裕子に惹かれる理由がイマイチわからない。
ここから古谷一行が松本清張ものにたくさん出演。
映画版で藤田まことがやってた下見沢を原田芳雄。
映画版よりヒューチャーされてるし、役柄も異なる。
全体的にちょっとダルい。ちあきなおみさんは怪演。

それぞれの作品と原作を見比べるのも悪くない。
だけどきらびやかさならやっぱり映画版かなあ。

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