林真理子「ファニーフェイスの死」を久々に読む

1987年出版の名作。特にラストシーンが心に残る。あらすじ昔なじみのフリーライター・井田が初めて出版した本。驚くほど派手な出版記念パーティーにかけつけた恵子。博多に嫁いでからは東京に来ることは全くなかった。恵子がかつてモデルをしていたことを知る人はほとんどいない。ホテルに帰り本を読んだ恵子は、思わず井田に電話して激怒した。同じモデルクラブに所属していたゆい子のことが――。1960年代、高度成長期の
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江戸川乱歩賞受賞作・桐野夏生「顔に降りかかる雨」を久々に読む

第39回江戸川乱歩賞受賞作。女流ハードボイルド作家の誕生が話題を呼んだ。あらすじ親友のノンフィクションライター・燿子が一億円を持って失踪。その金は警察に届けることのできない金だった。大金を預けたのは成瀬。暴力団に繋がる中古車ディーラー。とばっちりを受けた村野ミロは一週間以内に成瀬と一億円と燿子を探し出さなければ東京湾に浮かぶハメに。燿子はベルリンのレポートでライターとして浮かび上がろうとしていた。
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ハードボイルド・香納諒一「春になれば君は」を久々に読む

1993年出版のハードボイルド学園ミステリ。当時あった角川ミステリーコンペの一冊だった。あらすじ元カメラマンで探偵の辰巳。彼は3年前やらせ事件の発端となった写真を撮影していた。その中の一人、甲子園が有力視されていた投手。彼は殺人の嫌疑をかけられ逃亡していた。辰巳は早紀という少女からその元投手の捜索を依頼される。辰巳は否応なく三年前の事件と向き合うことになる。新興学園都市に隠されたどす黒い中身、巻き
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実話に基づくノンフィクション・ノベル・清水一行「風の骨」を読む

1977年初出の作品。モデルになったのは1952年大分で起きた菅生事件。駐在所爆破を警官がでっち上げたフレームアップとして有名。あらすじ朝日新聞社に勤めている新聞記者・池島。しかし、小倉に転勤した後レッドパージにあう。地域新聞を作るなどしながら糊口をしのぐ池島だが黒人脱走兵事件などを扱いGHQににらまれ囚われの身に。サンフランシスコ講和条約が成立し釈放された池島はひょんなことから豊後日日新聞の社会
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傑作時代小説・笹沢左保「地獄の辰 犯科帳」を読む

1985年に光文社から出た「地獄の辰・無残捕物控――首なし地蔵は語らず」の改題作品。収録作品は「首なし地蔵は語らず」「夜鷹が水を欲しがった」「縁切寺で女は死んだ」「水茶屋の闇を突く」「半鐘が赤い雪に鳴る」「瓦版に娘が欠けた」「賽は知っていた」の7編。ストーリー全体についてはこちらを参照。ま、とにかくアナーキーである。救いのない話が巻き起こる。「夜鷹が水を欲しがった」なんかは本格推理としても優れモノ
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第34回横溝正史ミステリ大賞受賞作・藤崎翔「神様の裏の顔」を読む

2014年度の受賞作。舞台設定の絶妙さとどんでん返しが魅力の作品。あらすじ誰からも慕われ尊敬された教師・坪井。その坪井が亡くなり、通夜は悲しみに包まれていた。しかし、それぞれの参列者が「神様」坪井を偲びそれぞれの想いを感じているといろんな疑惑が浮かんできて……。老若男女の参列者が一堂に会した時、二転三転する坪井の評価。もしかすると坪井は「神様」なんかではなく「悪魔」だったのでは?そして一連の事件の
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海洋冒険小説・西村望「刃差しの街」を読む

1988年初出の作品。直木賞候補作。有力視されていたが受賞はならなかった。あらすじ明治10年――。現在の和歌山県太地町。この紀州の海辺の町は捕鯨が生活を支えていた。ところが、クジラが突如やってこなくなる。困窮する村を救うため、捕鯨責任者の勝山良之助は若い未亡人・お妻を伴い大阪に金策に出る。だが、ことごとく不調に終わるだけでなく他国のやり方などを知り捕鯨の未来に失望するのだが――という話。感想「鬼畜
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鯱シリーズ2・西村寿行「黒い鯱」を読む

1978年に週刊現代連載の鯱シリーズ第2弾。あらすじ強欲成金の親子に届いた殺人予告状。その通りまず道楽息子がぶち殺され、慌てふためいた父親は暴力団に警護を依頼。ところが40人ほどいた組員もろとも皆殺しの憂き目に。さらに殺人予告状が財団連会長にも届き、警視庁は総出で万全の警備体制を敷いたものの娘になり済ました侵入者によってあえなく計画は実行された。一人気づいた刑事も殺され、面目は丸つぶれ。そしてつい
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笹沢左保「木枯し紋次郎 中山道を往く(一)」を読む

2007年出版の文庫本。「虚空に賭けた賽一つ」「駈入寺に道は果てた」「鬼が一匹関わった」「流れ舟は帰らず」「雪燈籠に血が燃えた」の計5編を収録。一応全部映像化されてる。「虚空に賭けた賽一つ」が新・木枯し紋次郎第24話。ゲストが弓恵子、橋本功など。「駈入寺に道は果てた」第2シーズン11話。ゲストが江夏夕子、織本順吉、浜田寅彦など。「鬼が一匹関わった」新・木枯し紋次郎第22話。ゲストが原口剛、泉晶子、
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笹沢左保「東海道・無頼旅 地獄の辰シリーズ」を読む

初出は「小説宝石」1974年2月号から9回にわたり連載。その時は「地獄の辰・無頼控」で翌年「東海道・無頼旅 地獄の辰シリーズ」として出版。「地獄の辰 無残捕物控」の続編。あらすじ将来を誓った女・お玉と自分をこき使った同心・磯貝源之進に裏切られた男、人呼んで「地獄の辰」こと江戸・深川の岡っ引き・辰造。彼は十手を捨て、気ままな湯治場巡りをしていた。そこにかつての手下、留三郎と銀太が現れる。2人は御目付
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