西村京太郎20「赤い帆船」を久々に読む

1973年初出の作品で、記念すべき十津川警部初登場作。
もっともこの頃はまだ警部補なのだが。残念ながら映像化はまだなし。

あらすじ

深夜に起きた自動車事故。
死亡したのはヨットで単独無寄港世界一周に
成功したばかりのヒーロー、内田洋一だった。

事故死かと思われたが遺体からは毒物反応が。

警視庁の十津川警部補が捜査に乗り出すが容疑者と思われた内田の妻、
バックアップしてた企業の部長などが次々と殺されていく。

最後に残った真犯人と思われる人物には鉄壁のアリバイが。

何とそれぞれの被害者が死んだ時刻には
遠く離れた地でヨットレースを行っていたのだ!

東京~タヒチ間のヨットレースを舞台に仕掛けられた
壮大なトリックとは? 十津川はこの謎を解けるのか?という話。


感想

十津川警部初登場作品。

後の2時間サスペンスっぽくなく荒々しい十津川の姿がかえって初々しい。
部下に八つ当たりするし。ある意味ハードボイルドっぽい作品。

まだトラベルミステリーで大ヒットを飛ばす前の作品なのだが
この頃の作品の方が実は面白い。

海を舞台にした作品は結構多く
「ある朝海へ」とか「汚染海域」とか「消えたタンカー」などがある。

初期にあった社会派的視点は徐々に薄らいでいった時期とも言われるのだが、
そうではなくかえって深化していった時期なんだろうなあ。

要するにど正面に掲げるのではなく、ちょっと入れるというか。

エンターテインメントに徹しながら隠し味で取り上げるというか。

そうやって自分の形を完成させていったのが
トラベルミステリーの爆発的ヒットに繋がって行ったのだろう。

人に歴史あり。

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